第82話 決着をつける為に
(全部、私の責任……)
「フェリンが責任を感じることなど一つもない」
トイフェリンの涙に気づいたヴァイゼは、そう言いながら涙を拭った。
「あいつが初めから事を正当に進めれば良かった話だ」
「えー、でも二人とも僕に感謝すべきでしょ。僕の計画があったおかげで出会えて、二人は晴れて両想いになって婚約したんじゃん」
確かにそれは事実だ。
あの夢と物語がなければアルドとの婚約は続いていたかもしれないし、アオスに訪れることもなかったかもしれない。
「それはただの結果論に過ぎない」
「……やっぱり、君たち二人が一番幸せな結末になったことに腹が立つ。そんな結末なんていらない。僕と彼女だけが幸せになってこの物語は終わるんだ!!」
ヘルヘーニルの叫びと共に、強い風が吹き上げて来る。
ヴァイゼがトイフェリンを庇うようにしているが、風が強く目も開けられない。
「大丈夫か?!」
「…!なんとか…」
軽いトイフェリンなら後ろに飛んで行ってしまいそうだ。
室内にあった紙も風により宙を舞い、更に視界を悪くしている。
「さて、どうしようかな~」
殺意に満ちた顔をしているのに、どこかこの状況を楽しんでいるようにも見える。
そんなにも恨めしいのか。
「とりあえずここだと彼女が危ないから場所を移さないとね」
指を鳴らした音が響いた途端、皇宮から騎士が訓練をしているような場所に変わった。
それと同時に風もなくなった。
「ここなら堂々と戦えるよね?」
「…そうだな。容赦はしないぞ」
アクストはヴァイゼの視線で合図を受け取り、トイフェリンを離れた所へと連れて行く。
ヴァイゼは腰から剣を抜き、ヘルヘーニルの方へと構える。
「魔法を使う僕に剣で勝てる訳ないのに」
勝利を確信したかのように、嘲笑っている。
魔法にはかなりの自信があるらしい。
「それはどうだろうな」
それに対してヴァイゼは、ニヤリとした挑発の笑みを浮かべた。
「大丈夫でしょうか…」
「ヴァイなら大丈夫。めっちゃ強いから」
間接的な攻撃の魔法と、物理的な攻撃の魔法。
魔法について未知な分、どちらが有利なのか明確には分からないが剣の方が不利に感じる。
ヴァイゼは魔法についてよく知っているみたいだが、どれほどの知識があるのかは知らない。
知っていても、魔法使いの多かったメーアの皇太子の知識には勝てないだろう。
トイフェリンはヴァイゼが負けないと信じているが、不安で仕方がない。
それに、自分が何も出来ないことに不甲斐なさも感じる。
「それじゃあ、始めるよ」
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