第79話 建物からの脱出
三人は急いで出口に向かう。
歩ける程の揺れではあるが、建物が崩れ始めている。
「ヘルヘーニル殿下はどちらへ向かったのでしょう?」
「あいつは皇宮に居る聖女の元へ行ったんだろう」
「え?でも、ここが皇宮のはずでは?」
「ここは魔法で作られた偽物で、あの崖から近い場所に急に現れたのがここだ」
「そうだったのですね。それで…」
どうりで痕が残っていた訳だ。
アクストと合流が早かったのもこれで頷ける。
それに―
(ではアルドリック殿下はそちらにいらっしゃるのですね…)
ヘルヘーニルの狙いがソフィアだと仮定するならば、一番狙われる危険性があるのはアルドだ。
アルドがソフィアと別れてから半日が経っている為、身体に異常が出たりしているかもしれない。
一刻も早くヘルヘーニルと決着を着け、アルドの場所を聞き出さなければ。
この建物から出た先は崖のすぐ近くの森だった。
「ここからすぐ海辺の方へ行ける。その後は馬車で向かう」
「分かりました」
ヴァイゼが道を良く覚えてくれているおかげで、最速で皇宮に迎えている。
トイフェリンだけだったら道に迷い出られず仕舞いで、建物が完全に崩壊して中から出られなかっただろう。
海辺まで着き、乗って来ていた馬車に乗り込み急いで皇宮へと向かう。
その間、、トイフェリンはヘルヘーニルから聞いた話を二人に詳しく説明をした。
「あいつの狙いが聖女なのは間違いないだろう」
「やっぱりそうですか…」
ヴァイゼは話を聞いて、ヘルヘーニルがソフィアが目的だと確信したようだ。
それから、その目的によってトイフェリンに危険が及ぶことを予測していて、アクストを連れて行かせた後ヘルヘーニルが居なくなってから急いで自分も向かったとのこと。
「ヴァイ殿下は私たちが居なくなった後、ヘルヘーニル殿下と何があったのですか?」
「時間稼ぎで適当な話をされ、最後に『彼女に何もないといいね』、と吐き捨てていった」
「本当に性格悪いな。聖女にだけは良い顔して、それ以外の扱いは雑だしどうでもよさそう」
アクストは相当ヘルヘーニルに不満があるようだ。
馬車の中には信頼している者しかいない為、身分を気にすることなくヘルヘーニルを侮辱している。
「ソフィア様の話によるとアルドリック殿下は、ヘルヘーニル殿下とどこかへ行ってしまわれたそうです」
「それってかなり不味いね。聖女と婚約してるアルドリック殿下なんて邪魔でしかないし、始末される可能性も」
「もしくは行方不明にするつもりだろうな」
「そんな…!!」
そうなる未来を想像してしまい、背筋が凍りついた。
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