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悪役令嬢のはずですが、悪役じゃないのは何故ですか?  作者: 希空 蒼
第4章 ソーダライト

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第75話 深く広い海の中へ

 三人の乗った馬車は、坂を上って行くような道を走っている。


「ソフィア様はどうしてメーアにいらっしゃったのですか?」

「アルド殿下と一緒に招待されたんですよ!」


(アルドリック殿下と一緒に…?)


 トイフェリンはアルドの姿だけでなく、エーデルの皇室の馬車も見ていない。

 昨日、部屋にずっと居た時に訪れたのだろうか。


「アルドリック殿下は今どちらに?」

「今朝ヘルヘーニル殿下に呼ばれて、私は海を勧められて連れて行ってもらったんです」

「それはヘルヘーニル殿下に?」

「いいえ。ここの土地に詳しい別の人でした。その後、トイフェリン様たちと一緒にヘルヘーニル殿下は海に来ました」

「そうだったのですね」


 ということは、トイフェリンが皇宮を出たのが昼前だったのは、ソフィアを先に海へ行ってもらう予定だったから。


 しかしそれよりも気になることがある。


 アルドはヘルヘーニルに呼ばれた後、トイフェリンと一緒に海に来た。その間アルドは一人になるのではないか。


 それにヘルヘーニルは今、ヴァイゼと一緒に居る。


 なんだか、アルドも来ていることを知ってはいけなかったような、そんな気がする。


「大丈夫ですよ。俺がついてますから」

「え?」


 不安な気持ちが顔にも表れていたのか、アクストにそう声を掛けられた。


「何かあった時の為にヴァイが俺を連れて行くように言ったんだ。侍女と違って、俺には簡単に手を出せないから」

「そのような意図があったのですね」


 そのことについての疑問は解消されたが、やっぱり嫌な予感は拭えない。


 会話をしているうちに目的の場所に着いたようだ。

 馬車にはさほど乗っていないように思える。


 降りてから少し歩くと、低めの崖から海と、遠くに島が見える。


 先ほどの海岸よりは高さがある分、海がより広がって見えていた。


「ここからの景色も綺麗ですね!!」

「そうですね!」


 柵のような物がない為、少々危ないが気をつければ落ちることはないだろう。


 と、思った矢先に―


 ここまで一緒に来ていたヘルヘーニルの従者たちが、こちらに向けて剣先を向けている。


「これは一体どういうことかな」


 アクストが二人を庇うように前へ出る。

 いつもより声も低く、鋭い目つきで相手を睨んでいた。


「我々は命令に従うまでです。死にたくなければ海に落ちると良いでしょう。これくらいの高さなら死ぬことはないですから」


(本来なら私が突き落とす所なのに、こんな展開になってしまうの?!)


 前には剣を構えた従者が数人、後ろは崖。本当に逃げる場所は海しかない。


 高さで死ぬことはなくても、そもそもトイフェリンは泳いだことがないのだ。

 それはソフィアもアクストも同じだろう。


 泳ぐなんて、メーアに住んでいる者しかしないだろう。


「どうしましょう…」


 ソフィアはアオスでの件があってか、かなり怯えてしまっている。


 選択が迫られる中、アクストが言い放った。


「仕方ない、皆で手を繋いで一斉に飛び込みましょう」

「えぇっ!?と、飛び込むんですか?!」


 それを聞いて、ソフィアは信じられないという顔をしている。


 しかし他に案はないと覚悟を決め、というソフィアの手を握る。


「大丈夫だと信じましょう。この手は絶対に離しません」

「トイフェリン様……。そうですね、私も覚悟を決めます」

「それじゃあ、行きますよ!」


 手を繋いだ三人は、アクストの掛け声と共に海へと身を投げ出した。


(お願い…どうにか二人だけでも助かりますように)


 そう願い、目を瞑ったトイフェリンの身体は海の中へと―


読んで頂きありがとうございました!

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