第73話 ヘルヘーニルと対面
海を楽しんだ二人は再び馬車に戻り、ヘルヘーニルの居る皇宮へと馬車を走らせた。
ヘルヘーニルはまだ自分の城を持っていない。そのため、皇宮に両親と共に暮らしながら公務をしている。
皇宮の前に着けば、出迎えに来たヘルヘーニルが門の前で立っていた。
「ようこそ、メーアへ!待っていたよ。ヴァイゼ殿下とその婚約者のトイフェリン嬢」
笑顔で出迎えてくれたヘルヘーニルだったが、トイフェリンはその笑顔の裏で一体何を考えているのだろうかと考え、少し怖いなと思った。
「久しぶりだな、ヘルヘーニル」
「初めましてトイフェリン・アメテュストです。よろしくお願い致します」
今は何か深く考えるのを止め、普段通りの挨拶を交わす。
「長旅で疲れたよね?僕が用意した部屋に案内するよ!」
「ご配慮下さりありがとうございます」
言われた通りにヘルヘーニルの後をついて行く。彼の性格は今のところ、幼さを感じる明るさという印象が強い。
(警戒心を見せ過ぎないようにしないと…!)
警戒心を剥き出しにして、こちらの計画には気づかれてはいけない。ある程度の警戒心は持ちつつも、どこか隙のあるように見せなければならず少し難しいところだ。
「この部屋だよ。今日は特に呼んだりしないから、部屋でゆっくりくつろいでいてね。廊下に出れば使用人たちが居るから、何かあったら声をかけて」
「分かりました」
「それじゃあ」
部屋を案内し終わったヘルヘーニルは、どこかへ行ってしまった。
案内された部屋は見た所、あまり変な感じなどはしない。身分の高い者が使うような普通の部屋だ。
外に居る使用人たちに聞こえないように、二人しか聞こえない声で話始める。
「何かあるかと構えてしまいましたが、大丈夫そうですね」
「部屋は問題なさそうだが、あいつの言葉が引っかかる。遠回しに部屋からは出るなと言っているように聞こえる」
「知られたくないことでもあるのでしょうか?…準備を進めていたり、とか?」
「今回もあの聖女は呼ばれているのだろうな。それを隠したいのかもしれないな」
「時が来たら私たちも会うことになりそうですね」
その夜、ヘルヘーニルが再び二人の部屋に訪れることはなかった。
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