第72話 メーアの綺麗な海
話し合って決まった通り、お義母様にお願いする為に皇宮に行くことに。
考えた結果、トイフェリンはアオスに留学で来ていたのもあって、アオスの未来の皇太子妃としてメーアについて勉強する為に行く、というのが表向きの事情だ。
このことは皇后陛下に伝えることとなった。
「そんなの良いに決まってるでしょう?国のことを想って色々学んでくれていて本当に嬉しいわ。それに、ヴァイに公務を任せ過ぎてしまっていて申し訳ないと思っていたのよ…。だから気兼ねなく行って来て!」
「ありがとうございます!」
「帰って来たらまた、顔を出しに来てね!」
「はい!」
あっさりとメーアに行く許可をもらうことが出来た。お義母様の言葉を聞いて、本当は別の意図があって向かうことが後ろめたく感じてくる。
今回はメーアに向かうのに必要な物を用意するだけだったので、準備もすぐに終わり早く向えた。
メーアに行くにはエーデルよりもエッセンを経由した方が早く、あれからのエッセンの様子を見ながら向かい、宿舎を転々としながら道なりを進んで行った。
だいぶ近づいて来た頃には、馬車の中からでも海が見えるように。
「凄く綺麗ですね!」
「海を見るのは初めてか?」
「はい!遠くから見てもこんなに綺麗でしたら、近くで見るともっと綺麗なのでしょうね」
「皇宮に行く前に先に寄って行くか」
「良いんですか?!楽しみです!」
馬車の方向を変え、海の方へ近づいて行くとより一層綺麗な海が見えていく。
着いたところで馬車を降りたトイフェリンは、海の方へ軽く走っていった。
「ヴァイ殿下も早く来て下さい!凄く広いですよ!!」
「…綺麗だな」
トイフェリンは海を背にヴァイゼの方へ笑顔を向け、波風で髪と服がなびいている姿を見たヴァイゼは、愛おしそうに彼女を見つめていた。
砂浜を散策していると、トイフェリンはあるものに気がつく。
「これは何でしょうか?」
「ああ、それは魔法陣だな」
「魔法陣ですか?」
かつて、まだ四つの国が一つの国だった時があった。当時、その大きな国を治めていたのはヴァイゼの先代だ。
国が広かった分、広い領地の状況を把握することが難しく場所によって貧困の差が大きかった。
その為、主要の都市だったアオス、エーデル、エッセン、メーアに分けられることになった。
分けられる前はこの大陸には魔法が存在していたらしい。
今はもう魔法を使える者はほとんど居ないのだとか。
過去に一番魔法を使える者が多く生まれていたのはメーアだったそうだ。
それで今でも所々魔法陣が残っていると、ヴァイゼが説明してくれた。
「それは知らなかったです…。まだまだ知らないことはたくさんですね」
「メーアに住んでいる者は知っていることが多いと思うが、他国では皇室の者しか知らないだろうからな」
「そうなんですね」
その話を聞いて、なんだかこれまでにない程嫌な予感がする。
メーアの狙いは考えるよりももっと、大きな何かがあると感じ始めていた。
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