第71話 メーアで起こるイベント
あれから数週間経った頃。
トイフェリンはヴァイゼ、アクストの三人で執務室に集まり計画を立てていた。
その理由は、今まで全く動きを見せていなかったヘルヘーニルが動き出し、アオスに招待状を送って来たのだ。
しかしながら、メーアは隣ではない為そう簡単に行くことは出来ない。エッセンに行った時よりもかなりの数の公務をこなしてからではないと行けない。
その間アクストに全てお任せという訳にもいかない。今はヘルヘーニルが何をして来るか、目的も分かっていない危険な状態だ。アクストも一緒に連れて行った方が良いのだ。
「こうなったら両陛下にお願いするしかないんじゃないのか?」
「そういえば、現在アオスの公務のほとんどはヴァイ殿下がされているのですよね?」
「そうだな…。両親には公務を押し付けられた訳ではなく、俺のことを見込んで全てを任せているだけだから頼んだら行けるかもしれないな」
「それって押し付けてるとあんまり変わらないだろ…」
アクストが小声で言ったことに対し、何も反応をすることなく話を続ける。
「問題なのは何と説明するかだ。急ぎの話でなければ公務の落ち着いている時に行くべきだからだ。今回は招待状、つまり急ぎではない」
「だから公務をお願いする理由が必要なのですね」
「大事にする訳にはいかないからな。ありのままを話すのは避けたいが、どうするか…」
ヴァイゼは難しい顔をして考えている。
大事にしたくない理由として挙げられるのは、ティーフのことだ。ヴァイゼはティーフの立場を心配していた。
全てを話すとなると、脅されていたとはいえティーフがアオスに諜報員を送っていたところから話さなくてはならない。
「とりあえずさ、トイフェリン嬢にメーアで起こることを聞いてから考えるのは?」
「その方がいいな」
今後動きやすいと考え、物語のことはアクストにも話すことになった。
「メーアでのイベントは、ソフィア様が私によって海に突き落とされることで、そこにヘルヘーニル殿下が助けに来るというお話です。その後二人は仲を深めていき、とうとうソフィア様への嫉妬や憎しみが限界に達し、私が暗殺しようと企みます。しかしヘルヘーニル殿下により暗殺計画は失敗となり、聖女を殺そうとした罪で処刑されてしまいます」
改めて物語を読み返して考えると、本当にこのトイフェリンは酷い存在だと思う。誰からも好かれていくソフィアをずっと見てきたこのトイフェリンの妬む気持ちは分からなくも無いが、ここまで行動が酷いと同情する気持ちは一切芽生えない。
「うん…、かなり酷い話だ…。でもそれは絶対起きないでしょ」
「そう思いたいですね」
(あれ?考えてみると何だかおかしい?)
ソフィアが連れて行かれそうになっていた時も、竜巻が起きた時も、トイフェリンの行動にタイミングよく起きている。物語通りにする為に強制力が働いているかと思っていたけれど、それではティーフが脅されていたことやヘルヘーニルの動きなど、物語に全く関係のないことが起きるのは不自然だ。
それにソフィアがアルドと結ばれた時点で、この物語は終わっても良かったのではないか。
この物語はトイフェリンが処刑されるまで終わらないのではないかと、考えたトイフェリンは背筋がゾッとした。
読んで頂きありがとうございました!
トイフェリンの運命は一体、どうなってしまうのでしょうか?




