第69話 約一ヶ月ぶりの帰城
帰りの馬車の中で、二人はヘルヘーニルのことについて話していた。
「ヴァイ殿下はソフィア様のことも調べていましたし、ティーフ殿下が情報を得るのに失敗したからエッセンにソフィア様を呼んだのでしょうか?」
「その可能性もあるが、あの二人に人をつけて誰が呼び出したのかを知ろうと思ったが、怪しい人物とは話していなかった」
「そうなのですか!?では何の為に…」
いくら考えてみてもそれらしい考えは浮かばず、疑問だけが増えていくばかりだ。
そして、そんな浮かない表情のまま、約一ヶ月ぶりに城へと帰って来た。
「お帰りなさい、お二人とも。ご無事で何よりです」
出迎えてくれたのは、先に公務の為に帰っていたアクストだった。
「で、疲れているとは思いますけど公務は山ほどありますが、覚悟はおありで?」
顔は笑っているが、目が笑っていない。よほど一人の間忙しかったようだ。
「分かっている。ご苦労だった」
「本当に大変だったんだからな!」
「なら一週間程休んでいるか?」
「主人であるヴァイが一人で公務してるのに、一週間も休んでいられるか!ちゃんと手伝うに決まってるだろ!?」
ヴァイゼに仕えているだけあって、あの莫大な公務を一人でこなしていたアクストも凄く仕事の出来る人なのだと、トイフェリンは実感する。
その分、信頼されて仕事をたくさん任されているのだろうなとも思う。
それからお互いに休憩を挟んだ後、残っている公務をそれぞれこなす日々が続いていた。
エッセンから帰って来て、すぐにメーアに行くことは出来ないし、相手から何か新たな動きが見えるまではその話は置いておくことに。
落ち着いてからようやく、お義母様にも会いに行けた。久しぶり過ぎてとても緊張してしまっていたトイフェリンだったが、我が子のように優しく接してくれヴァイゼの昔話もたくさん聞くことが出来た。
婚約パーティーの恰好も涙を流して喜んでくれて、嬉しい気持ちでいっぱいだ。これからはもっと頻繁に会いに行くと約束を交わし、またいつもの日常へと戻って行く。
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