第7話 計画と名前の意味
家族との食事と湯浴みを終えたトイフェリンは自室に戻る。
とりあえず、建国記念日のイベント『建国祭』に向けて計画を立てることに。
(殿下とは婚約を破棄した方がいいのかな?でもどういった理由で婚約破棄を申し出よう…)
何か皇太子とトラブルがあった訳ではないため、容易く破棄するのは難しいだろう。
しかし彼女ははあることに気づく。
それは、聖女の存在価値である。
聖女は生まれた時から聖女だった訳ではなく、神殿にて神からご加護を与えられた者の中から選ばれた者がなれる。
そして聖女が良い行いをしたり、正の感情を抱いているとその国は繁栄し良い国に。逆に悪い行いをしたり、負の感情を抱いているとその国は滅びると伝えられている。
これは神殿にある神話から平民、貴族へと伝わっていったものだ。
その為、聖女は崇拝されるようになった。
(聖女が国の次期皇帝の婚約者になったら国の為になりますし、平民の皆様も喜ばれるでしょう。そうなると、殿下の株も上がることでさらに国が繁栄して良い国になるのではないでしょうか)
物語も皇太子と聖女が結婚しトイフェリンが処刑され居なくなったことで、エーデルはとても繫栄し平和が長く続いたそうだ。
この国の為にもトイフェリンはこの国の皇太子と結婚しない方がいいだろう。
(明日、皇宮に戻ったら殿下にお話しよう。婚約破棄をするとしたら建国祭が終わってからになりそうですね。そしたらもう家から出なければ、イベントに関係することがなくなるかも)
今後の計画について目途が立ったところで、もう眠りにつこうとベッドに横になる。
ベッドのすぐ近くにある机に置いた物語の本に目をやる。
(そういえば物心がついて本を読み始めた時に、一度自分の名前の意味について調べて落ち込んだことがあったけれど、その時に両親に聞かなくて良かったかもしない…)
トイフェリン(Teufelin)は、悪魔みたいな女という意味だ。両親にも兄にも愛されて育てられているはずなのに、どうしてそんな名前を付けたのか不思議だったし、ショックだった。
聞いていたらとても困った顔をされていたかもしれない。
十六歳の今、ようやく名前の謎が解けた。
一日ずっと頭を使っていたのもあり、落ち着き、安心したところでトイフェリンは目を閉じた。
読んで頂きありがとうございました!
トイフェリンの名前について触れましたが、家名がアメテュストなのにも意味があります!
アメテュストはドイツ語で宝石のアメジストのことです。
トイフェリンの住む国エーデルは宝石の貿易が盛んなことから、貴族の家名は全て宝石の名前が付けられています。
それから彼女の髪と目が紫なので、紫色の宝石であるアメジストを名前に付けました!
アメジストを名前に入れた理由がもう一つと、目と髪が紫なのには理由がありますがそれは二章の伏線なので今は秘密です!