第65話 初めてちゃんとした会話を
行く時はそれぞれ別の馬車来たが、帰る時は同じ馬車に乗って帰ることになった。
「トイフェリン様とは一度ちゃんとお話がしたかったんです!!」
「そう言ってもらえて嬉しいです」
ソフィアはトイフェリンと同じ馬車に乗り、話が出来ることにとても嬉しそうだ。
トイフェリンとしては、前に会った時に名前を聞かれて答えられなかったこととかも含め、少し気まずい部分がある。
「私、アルド殿下と婚約してからアオスでトイフェリン様に助けてもらった後まで、トイフェリン様が元婚約者だったなんて知らなくて…。それで気になったんですけど!どうしてアルド殿下との婚約破棄を申し込んだんですか?!」
「え?」
婚約破棄をした細かい事情がソフィアに説明されていないことに驚いた。生まれて聖女だと判明してから教会で大切に育てられたはずだから、世間のことはあまり知らないだろうしトイフェリンの存在を知らなかったのも無理はない。
聖女という立場を称えられて爵位を貰い、皇太子と婚約することには疑問は少なかっただろう。建国祭の時にアルドに挨拶されていたのもある。
きっと婚約をしてから元は別の婚約者が居たことは誰も教えてくれず、街の国民の声により知ったのだろう。
「…国の為、でしょうか?エーデルでは聖女であるソフィア様がアルドリック殿下と婚約された方がいいと判断しましたし、両陛下もその意向を示されていました」
自分の身を守る為という理由もあるが、それはさすがに伏せることにした。
「じゃあトイフェリン様はアルド殿下のことは好きだったんですか?」
ソフィアが少し不安そうな顔で聞いてくる。とられてしまうかもしれないという気持ちなのか、好きだったけど国の為に婚約破棄したトイフェリンのことを心配しているのか、どちらかは分からない。
「尊敬はしていましたが、好意はありませんでした」
「どうしてですか?」
「お互いちゃんと時間を作らなかったからです。同じ場所で過ごしていましたが話すことはとても少なかったのです」
「そうだったんですね…」
落ち込んだような安心したような、そんな表情をしている。
「でも今は、アルドリック殿下はソフィア様との時間は作ってくれていると思いますし、私もヴァイ殿下と結ばれることが出来ましたから、これで良かったんです」
「…そうですね!お互い幸せになりましょうね!!」
(物語通りとてもいい子ですね。皇太子の方たちが好きになったのも分かる気がします)
物語のことが無ければ、いい友達になれただろうに。
残念に思うが仕方がない。親しくなればなるほど厄介なことに巻き込まれるかもしれない。それは勿論トイフェリンもそうだし、ソフィアもだ。
(ソフィア様の為にも、私は彼女から離れないと…!)
この物語のことを一番知られてはいけないのは、『聖女ソフィア』である彼女だ。
読んで頂きありがとうございました!
この作品のタイトル『悪役令嬢のはずですが、悪役じゃないのはなぜですか?』を、長いので個人的には『あくあく』と略しています^^
皆様もこの作品名を出すときには是非使って下さい~




