第62話 この時が来てしまった
次の日になり、予定通りトイフェリンはヴァイゼと街に出かけていた。
そこにティーフもついて来てしまったけれど。
「ティーフ殿下も一緒に来るのですか?」
「俺が居たら何かまずい理由でもあるのかな?」
「いいえ。そういう訳ではないですけれど…」
「街を案内してあげようと思ってついて来たんだよ」
「それは是非ともお願いしたいです!」
それからティーフに案内され、街の色んな場所を教えてくれた。ティーフの説明を聞きながら三人で歩いていたのだが、変装など何もしていないため街ではかなり目立っていて、街ですれ違う人々が振り返りながら通って行く。
エッセンはエーデルよりも国は小さいが、街でたくさんの食物が売られているからか街が賑わっているように感じる。
ティーフの案内が終わり、時間も昼に回ったところで皆で昼食をとることになった。
「この後は好きな所に行くといいよ。勿論ついて行くつもりだけど」
「お前が見張ってても特に得られるようなものはないぞ」
「そんなことないよ。君たちが何を調べているのか俺は知らないし」
(やっぱり、お二人って仲が良いですよね…)
そう改めて思うものの、それを口には出さなかった。二人から否定の言葉しか出てこない気がしたから。
微笑ましい気持ちで二人の会話を聞いていた時だった。
『ゴォォォォ…』
と、少し遠くで大きな音がする。
「何だ?!」
ティーフが真っ先に声を上げた。
その後すぐに音の正体が見える。
「竜巻です!!」
トイフェリンの叫びと共に、街の人たちが混乱に陥って逃げるように走って行く。
「一番安全な場所は皇宮と、ティーフ殿下の城です!手分けして街の方々を誘導しましょう!」
「分かった。ここは君の言うことに従うよ。皇宮には俺が案内するから、二人は城の方を頼んだよ」
そう言ってすぐさまティーフは街の人の誘導へとあたって行った。
「ヴァイ殿下、私たちも急ぎましょう!」
「そうだな。それと、絶対に俺の傍から離れないと約束してくれ」
「分かりました。約束します」
きっとヴァイゼはトイフェリンに安全な場所に居て欲しいと思っている。でもトイフェリンが自分の命よりも街の人の命を優先すると分かっているからこそ、絶対に傍を離れないことを条件に出したのだろう。何かがあっても守れるように。
二人も誘導を始め、逃げ遅れた人が居ないか確認しながら城へと近づいていく。
幸い、竜巻はそこまで速くない。
「皆さん!落ち着いて城の方へと向かって下さい!」
竜巻が街の方に達する頃には街のほとんどの人たちの避難が終わっていた。畑の方に住んでいる者はティーフとヴァイゼの騎士が避難するように伝えに行ってくれている。
トイフェリンとヴァイゼは城の高い所に行き、街を眺めていた。
「街の方々に怪我人などは出ずに済みましたが、街があっという間に壊されていっていますね…」
「エッセンに予定より長く滞在し、街の復興に加担しよう。アクストには悪いが急いでアオスに戻ってもらわないとな」
「そうですね…」
竜巻が起こることを知っていて安全な場所に誘導することは出来ても、破壊されていく街をただ眺めることしかできないのが悔しくて仕方がなかった。
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