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悪役令嬢のはずですが、悪役じゃないのは何故ですか?  作者: 希空 蒼
第3章 マラカイト

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第57話 予想していなかった出来事

 会食は数少ない人数で行われた。

 アオスから来たヴァイゼとトイフェリン、エッセンのティーフと位の高い貴族が数人で食事中はそれぞれの国政の話や、アオスの二人の婚約話で盛り上がっていた。


 このことは街にすぐに伝わり、ティーフの狙い通り街の人たちに良い印象を与えられていて、本当の目的に気づかれることはないだろう。


 トイフェリンは会食中、話を聞いて受け答えをしながら考えを巡らせていた。


 今回の事は慎重に進めなければ、ティーフは国民に不信感を抱かれてしまう。そうなるとティーフの立場が危うくなることは、ティーフ自身が一番分かっているはずだ。


 しかしそうなってしまったとしたら、トイフェリンにも責任がある。何故ならトイフェリンがヴァイゼと婚約しなければ、ティーフがアオスに諜報員を送っていたことも明るみにならなかったからだ。


 物語に書かれていない事の為、トイフェリンが婚約したことで生まれてしまった出来事なのか、書かれていないだけで元からそうだったのかは定かではないが、なんにせよ物語に無かった出来事をまた増やしてしまったことに変わりはない。


 会食も終わり、二人はティーフに案内されているところだ。

 そして部屋に着いたのか、ティーフは扉を開け二人に中に入るように促している。


「じゃあ、後は明日までごゆっくり~」


 二人は部屋の中に取り残され、ティーフは扉を閉め去って行ってしまった。


 部屋の中には椅子と机、それから大きなベットが一つ。


「「……」」


(考えてみれば婚約しているのだから、一つの部屋に通すのが普通だった…!)


 作戦を考えていたのに何もすることなく同じ寝室に。

 トイフェリンはヴァイゼの様子を窺うように目を向ける。


「…部屋を分けてもらうように聞いてくる」


 そう言って部屋を出て行こうとするヴァイゼの裾をトイフェリンは掴んだ。


「待ってください!!私はヴァイ殿下と同じ部屋が良いです…!」


 恥ずかしながらも、トイフェリンはその言葉を口にした。


 ヴァイゼは目を見開いて驚いている。


「分かった。ならそうしよう」

「ありがとうございます!」


 ヴァイゼが同じ寝室で過ごすのを承諾してくれて、トイフェリンは嬉しい限りだ。


 その後二人は別々に湯浴みをし、先に終えていたトイフェリンはベットに座りヴァイゼが帰って来るのを待っていた。


(緊張して手が震える…!)


 心臓の鼓動がどんどん高鳴っていく中、ヴァイゼが戻って来た。


「おかえりなさい」

「もう先に眠っているかと思っていた」

「ヴァイ殿下ともっとお話がしたかったので…」

「…そうか」

 

 緊張で声が震えながらもしっかりと自分の気持ちを口に出し、それを聞いたヴァイゼはトイフェリンの横に座ってくれた。


「ずっとお聞きしたかったのですが、どうして婚約してからもその…寝室は別だったのですか?」

「俺は寝ないことの方が多いし、寝たとしても時間が遅くフェリンを起こしてしまいそうだったからだ」

「そのことを気にしていたのですか?!私は全然構いませんよ?」

「フェリンが大切だからだ。しっかり休んで欲しいと思って…」

「それは私も同じです!!」


 トイフェリンがずっとヴァイゼに思っていたことを逆に言われてしまい、つい立ち上がって叫んでしまった。


「私もヴァイ殿下にずっとちゃんと休んで欲しかったです!いつも休めているのか心配だったんですよ!」

「…悪い」

「なのでこれからは私と一緒に寝て、二人でちゃんと休みませんか?」


 申し訳ない表情を浮かべていたヴァイゼだったが、トイフェリンの提案を聞いて何だか少し嬉しそうだった。


「そうだな」


 こうして二人はこれから一緒に寝ることを約束し、眠りにつくまで二人は話を弾ませていた。


 トイフェリンの実家の時とは違い、始めから二人で眠った夜は温かくてとても落ち着ける良い心地だった。



 

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