第45話 最後の挨拶
とうとうヴァイゼの両親に会う日。
二人は両親の待つ部屋の前まで来ていた。
「エーデルの両陛下に会うよりも緊張します…」
「大丈夫だ。何も心配することはない」
「誠心誠意頑張ります!」
ヴァイゼが扉を開け、一緒に中へと入って行く。
「父上、母上、この度は彼女との婚約を認めて頂きありがとうございます」
「トイフェリン・アメテュストです。義両親となる両陛下にご挨拶が出来ることをとても光栄に思います」
トイフェリンはなんて返答が返って来るのか、ドキドキしながら待っていた。
先に口を開いたのは母の方だった。
「ヴァイがようやく婚約を決めてくれて本当に嬉しいわ。今まで婚約の意思が無くて、令嬢に会うことを避けるために社交界に全然出てくれないから、この先ずっと独りで子孫も残さないんじゃないかと心配で心配でおかしくなってしまいそうだったのよ。私もトイフェリンさんに会えてとっても嬉しいわ。ヴァイとの婚約を決めてくれてありがとう。ヴァイはこんなに可愛い子がタイプだったのね!」
「いえ!そんな!私には身に余るお言葉です!」
義母からの言葉にトイフェリンは困惑を隠せずにいた。
ヴァイゼは黙って視線を逸らしてしまっている。
心配性だと言っていたこともよく分かる。
「母さん、いきなりそんなことを話すからとても驚いてしまっているだろう」
「本当に嬉しいんだもの、仕方がないでしょう?」
どちらも息子想いの優しく温かい両親に、見ていて安心するし楽しい。
「しかし本当に良い人を見つけたな。これからヴァイを頼んだよ」
「はい!これからどんな時も支えて参ります」
「そんなかしこまらないで良いのよ?もうあなたは私たちの娘のような存在なんだから!ね?」
「そうだな。いつでも会いに来てくれ」
「そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます!」
(いつでも会いに来てと言って頂けて嬉しいですが、義両親の前に両陛下ですよ?!そんな簡単にお会いしていいものなのでしょうか…)
義両親の発言には驚かされてばかりだったが、ヴァイゼがどんな風に育ってきたのか分かる気がする。
両親にとても愛されて育ち、心配する両親を見過ぎて冷静に判断するようになり、落ち着いた正確になったのだろう。
それでも優しい所やトイフェリンを心配するところはしっかり受け継いでいるのが感じられる。
「挨拶は澄んだのでもう戻ります」
「もう行ってしまうの?もっとお話がしたかったわ…」
「今回は挨拶だけなので。…またちゃんと時間を取ります」
「絶対よ!!」
母は名残惜しい表情をしているが、二人は部屋から出て行った。
婚約者としての大きな役目が終わり、肩の荷が下りた。
「ヴァイ殿下はお義母様に弱いのですね」
「ああ言っておかないと何度も訊ねてくるからな」
困っているようだが、嫌ではないようでヴァイゼも両親をとても大切にしているんだなと微笑ましく思う。
「改めてこれからよろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします」
これからは二人でこの先処刑を免れる道を探しながら共に歩んでいく。
その道にどんな困難が待っていようと、二人でなら必ず乗り越えられると信じて。
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