第35話 ヴァイゼがお礼に望んだもの
城に着き、ヴァイゼの手を借りて馬車から降りる。
ヴァイゼの住んでいる城は敷地がかなり広い。ここは両陛下の住まう皇宮でもないのに、エーデルの皇宮よりも広いのは驚きだ。
一体城の中はどうなっているのか、二人はわくわくしながらヴァイゼの後をついて行った。
二人は客間に通され、その後トイフェリンは侍女に連れられ別の部屋へと案内された。
そこには女性の医者が居り、ヴァイゼが配慮してくれたのが分かった。
服を脱いで体を診てもらい手当をしてもらった。着ていた服をもう一度着ようとしたところ、侍女に新しい服を渡された。
「こちらをどうぞ」
「え!?これは…」
「殿下が用意した服をあなたに持って行くように命じられました」
侍女が持っていた服は、白を基調としたドレスにアメジストがあしらわれた服だった。まさにトイフェリンに似合う服だ。
(このような服まで用意して下さるなんて…)
「ありがとうございます」
ここまでの配慮をしてもらうのは申し訳ない気持ちもあるが、断るのには気が引けて素直に受け取ることにした。
診察も着替えも終わったトイフェリンは二人の待つ客間へと戻る。
「戻りました」
「お帰りなさい!お嬢様!とても似合ってますよ!!」
「あぁ、良く似合ってるな」
どうやら、トイフェリンが見てもらっている時にヴァイゼが用意した中から、リナが選んでくれたようだ。
「怪我の方はどうだ?」
「今はまだ打った所に痣がありますが、痕は残らないようです」
「そうか」
「色々ありがとうございました!」
「君がヴァイにお菓子をあげた令嬢かぁ…」
客間にはヴァイゼとリナだけではなく、もう一人居た。
彼の名はアクスト。ヴァイゼと昔からの幼馴染で、現在はヴァイゼの側近を務めている。
「どうかされましたか?」
「いいや。こっちの話だから気にしないで」
「そうですか?」
こっちの話とはどんな話なのか気になるが、今は教えてくれそうにない。
「彼女に変なことを言うなよ」
「分かってるよ。どんな令嬢か気になってたんだよ」
二人は、トイフェリンとリナのようにかなり砕けて話していて、仲が良いのか伝わってきた。
「もう公務に戻らなければ行けない。外まで送る」
まだ聖女関係で片づけなければいけない事があるのだろう。
門の所へ戻って来ると、最初にトイフェリンとリナが乗って来ていた馬車があった。
「お忙しい中、本当にありがとうございました」
「あぁ。…お礼について考えたんだが、お前と一緒に行きたい場所がある。それでも良いか?」
「はい!分かりました!」
「日程が決まったら迎えに行く。じゃあ、またな」
「お待ちしております!」
二人乗った馬車は走り出し、家へと向かって行った。
乗ってすぐにリナが口を開いた。
「お嬢様!これはデートですよ!デート!!」
「えぇ!?」
読んで頂きありがとうございました!
アクストの言う『こっちの話』というのは第2章の番外編で!




