第34話 感謝してもしきれない
「本当に助けに来て下さりありがとうございました」
「自分を犠牲にしようとするのは良くない」
ヴァイゼは少し怒っている様子だった。
トイフェリンはこの後の展開を知っているが、ヴァイゼはそのことを知らない。だからトイフェリンが後先考えずに助けに行ったと思い、怒っているのだろう。
「助けに行った後、自分が何をされるのか分からないんだ。それぐらいの怪我では済まなかったぞ」
「そうですよ!!殿下が来て下さらなかったら、あのまま連れ去れていたんですから!」
「殿下にもリナにも、心配をかけてごめんなさい」
二人がとても心配をしてくれたことが、痛いほど分かった。
(もっとちゃんと考えてから行動しないと)
聖女を助けたい一心で、自分の身に起こるかもしれないことを軽く見ていたことに深く反省する。
それから、ヴァイゼには感謝しなければいけないことがまだある。
「殿下、先ほど聖女様に名前を聞かれた時にも助けて頂いてありがとうございます」
「お前が困っている様子だったからな。お前が考えていたことは分かる。あいつに気を使ったのだろう?」
「殿下は私のことを何でも見抜いてしまいますね」
ヴァイゼと出会ってから助けられてばかりで、本当に感謝しかない。この前のお礼だけでは全然足りない気がする。
「殿下にこれまでのことを総じてお礼がしたいです」
「何をするつもりだ?」
「私にはもうお礼に何を差し上げればいいのか分からないんです。なので、殿下のお願いを何でもお聞きします!」
「……考えておく」
「はい!」
トイフェリンは顔パアッと輝かせた。ヴァイゼがすんなりとお礼をしたいことを受け入れてくれたからだ。トイフェリンがどうにかしてでもお礼をしようとすることをヴァイゼは察し、諦めてくれたように思う。
そしてふと思った。ヴァイゼはどうして自分にここまでしてくれるのか。
今回のイベントで聖女に一目惚れすると思っていたのに、ヴァイゼと聖女が話したのは馬車で出発する前のあれだけだ。
互いが好感を持ったようにはとても思えなかった。
ヴァイゼが一目惚れしなかったことも疑問に思うが、聖女がヴァイゼに対して何もなかったことも疑問に思う。
やはり、アルドを好きになり婚約していることが関係しているのか。
それに物語通りの性格じゃないからか、トイフェリンが聖女に好感を持たれた気がするのは気のせいだろうか。
読んで頂きありがとうございました!
ヴァイゼが助けに向かう時、誰かが連れて行かれそうになってると聞いて、トイフェリンかもしれないと思って大急ぎで向かっています^^




