第29話 美術館を封鎖していた訳とは
気になっているのは、何故美術館に騎士を置いているのかということ。
それから物語と関係があるのか、ないのかということ。
トイフェリンはそこが気になっている。
「殿下、どうしてここにたくさんの騎士の方々を置いているのか伺っても良いですか?」
ヴァイゼは難しい顔をして考え始めてしまった。
(聞いてはいけなかったかな…)
他国の人間がこの国の政治に関わることはあまり聞かない方が良いと思うが、今後の為に出来れば聞いておきたい。
アオスは国が大きく人口が多い分、場所によっては街の方の裕福な地と、貧困な地と別れてしまう。
だからこそ、盗賊など犯罪をかなり警戒している。
そこでアオスの国勢を聞き出し過ぎると、諜報員だと疑われてしまう可能性がある。
今までヴァイゼが彼女に色々話してくれる理由は分からないが、彼女がこの事を聞いてしまったことで彼に疑いの目を向けられてしまうのは、少し怖いと思ってしまう自分がいた。
「聞いてはいけない事でしたら、無理に話そうとなさらなくて大丈夫ですからね」
「いや、事の全てを話すのは無理だが、その前に今回の事に関係のある話でお前に聞きたいことがある」
「何でしょうか?」
「エーデルの聖女には会ったことがあるか?」
「…っ!!」
いきなり彼の口から聖女という言葉が出てくるとは思わなかった。
(聖女様が関係しているということは、物語とも関係があるということ?)
「見たことはありますが、お話したことはありません」
「そうか。近々その聖女とやらがこの国を訪問するとの知らせが最近になって来たんだ。それが街でも広がっている様で何も起きないか、街の全体を警戒して色々な場所を改めて見ているんだ」
「そうだったんですね…。その聖女様が訪れる日程はまだ決まっていないのですね?」
「そうだな」
その話を聞いて、今度はトイフェリンが考え始めてしまった。
(なら一週間くらいは街には出ない方が良いかもしれない)
今後の事を考えていると、ヴァイゼからの視線に気がついた。
「どうかされましたか?」
「お前にまたすぐ会えると言っていただろう?」
「あ、はい!仰ってましたが…」
「あれからお前は何回か図書館に通うと思って、それでまたすぐ会えると言ったんだ。俺も行く予定だったからな」
「でも聖女様が訪れるとの知らせが来て、図書館に来れなくなったのですね」
「そうだ。悪いな」
「謝らないで下さい!殿下はお忙しいのですから、予定が変わってしまうのは無理ないです!」
急に話が変わったが、きっとヴァイゼはトイフェリンがすぐに会えなかったことを気にして、理由を考えていると思って話してくれたのかもしれない。
本当は彼女の考えをなんとなく気づいていて、話を逸らしてくれのか…。
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