第3話 夢で見た物語の本を探す
エーデルの都心部から少し離れた場所にある図書館では、本を借りたり購入することができる。
この図書館はかなり大きく取り扱っている本の数が多いが、『アオスゲツァイヒネト』略してアオスには負けてしまう。
「ここに来るのは久しぶりですね!」
リナは視線をあちらこちらに動かし、図書館の中をよく観察しながら進んで行きとても楽しそうだ。
トイフェリンは本が好きでよく読むが、皇宮にもたくさん本があるに加えて頻繁に図書館に行くわけにも行かないので、図書館に行くことが減ってしまっていた。
そのため、久しぶりの図書館には彼女も少し浮かれてしまう。
「探すのに時間が掛かると思うから、リナも好きな本を読んでて。気に入った本があったら持って来てね!後で一緒に買いましょう」
「わぁ…!いいんですか!?」
リナは表情を輝かせ、とても嬉しい顔をしている。
「私が皇宮にいることが多いせいで、リナもあまり外出する機会がないでしょう?」
「本当にお嬢様は私たちのことばかりなんですから。…でも、お嬢様がそうおっしゃるなら私も楽しんで来ますね!」
不服そうな顔をし、困ったようにため息をついた後、明るく手を振りトイフェリンの元から離れていった。
リナが喜んでくれるなら、トイフェリンも嬉しい。
(さて、私も探さないと!)
そうして彼女も歩き出し、図書館の奥の方へと進んで行く。
彼女は本の背表紙の題名などをよく見ながら、恋愛小説が多い所を目指して進んでいた。
(どういった題名なんでしょう?)
トイフェリンが出てくるなら、トイフェリン自身に関するような題名なのか。
それとも、あの夢の物語の主人公だと思われる聖女に関わる題名なのか。
そういった類の本もよく読んでいるが、これまで夢に近い物語は読んだことがない。
それも、現実に存在して今生きている人が物語に登場しているなんて、なかなか無いだろう。
だいぶ進んで来たが、建物が大きい分目的の場所まで行くのも一苦労だ。
数分かけてかなり奥まで行き、目的の場所に着いたところで不思議な本を見つける。
「この本ものすごく綺麗…。誰も触れていないくらいに」
その本はあまりにも綺麗で、新しく発売された本なのかと初めは思ったが、なんだが本の纏っている空気が少し変な気がした。
読んで頂きありがとうございます!
私には図書館の中の話があまりにも浮かばなかったです…。
もっと精進していきます!