第27話 二人からの気遣い
美術館の中に入ると、客人が居ないだけで特に変わったことはなく、数人の騎士が警備として立っているだけだった。
「こんなにたくさんの美術品があるのですね!人口が多いとやっぱり芸術家の方も多いんですね」
「気になるなら好きなだけ見ればいい。俺が居る限りは安全だからな」
「ありがとうございます!でも先に殿下に改めてお礼をさせて下さい」
「…そうか」
歩いて行く中、トイフェリンはあることを考えていた。
何故、美術館を封鎖し騎士を集めているのか。このような事は物語ではなかったし、そもそも美術館が登場していない。
そこで、物語とは関係のないイベントを起こしてしまったのかと疑念を抱いていた。
気になるところだがまずは、お礼をするのが最優先。一旦このことは考えないようにして、気を引き締める。
そこでヴァイゼが立ち止まり話始める、どうやら着いたようだ。
「ここには他に誰も居ない。話すのには丁度良いだろう」
「あの!お二人だけでお話しされてはいかがでしょうか?私は近くで美術品を見ておきますから」
「そんな気を使わなくても良いんだよ?」
「いいえ、お嬢様。私は是が非でもお二人でお話ししてほしいです!!」
(ど、どうしよう…。リナだけ一人なのは申し訳ないし、何より心配です…)
困ったものだ。今は誰とも婚約していないものの彼女の立場上、男性と二人きりになるのは少し問題がある。
あの時は状況的に仕方がなかったが、今回はそういうわけにはいかない。
リナも初めての場所に来て多少は不安な所はあるだろうに、一人になって心細くないか心配だ。
そんなことを考えていると、ヴァイゼが察して口を開いた。
「お前の侍女には護衛をつける。それから二人になってもこの中には俺の護衛騎士しかいない、このことが公になることはないだろう。それと、お前には手を出さないと約束する」
「…!」
トイフェリンは目を見張った。
(そこまで考えてくださるなんて!)
彼の配慮の気持ちを無下には出来ないと、提案を受け入れることにした。
「ご配慮ありがとうございます!わかりました、それなら大丈夫です」
「ではお嬢様!頑張って下さいね!!」
「え!?」
満円の笑みで言い放ち、ヴァイゼが呼んでくれた騎士と共に離れて行ってしまった。
(私と殿下はそういう関係じゃないのに…)
そう思いつつも、頬を赤くして照れていた。
読んで頂きありがとうございました!




