第23話 トイフェリンが気づけない気持ち
図書館からの帰り道で二人は話をしていた。
「お嬢様を送って下さったのはヴァイゼ殿下だったんですね!目の色が違ったので全然気づきませんでしたよ!」
「私も最初見た時に驚いたの!ここでは色んな技術が見れてとても楽しいね」
来た時と同じ道を通って帰っているが、時間が違うと売っている物も変わっているし、風景も違ったように見えて全く飽きない。
「ところでお嬢様!ヴァイゼ殿下はどの様な方だったんですか?」
そんなことをリナは興味津々に聞いてきた。
リナは恋愛小説が好きなのもあるし、アルドと婚約破棄をしたことでトイフェリンの将来を気にしているのだろう。
エーデルでは国のことを想ってアルドと聖女を婚約させるために、トイフェリンとの婚約を破棄したと国民たちに伝えられている。
それをトイフェリンが一番望んでいたということを、国民たちは知らない。
だから、社交界でも街でも彼女は可哀想に思われていた。
そのことをリナは知っていてトイフェリンを心配している。本人は可哀想に思われることは全く気にしていないが、エーデルの街を歩くのは少し気まずさがあった。
アオスではトイフェリンの名を知っている者は居ても、シュヴェアの過保護で彼女の髪色や目の色を知っている者は数少ない為、気兼ねなく街を歩ける。
こればかりは、彼女も初めてシュヴェアがシスコンで良かったかもしれないと思った。
「殿下はやっぱり噂とは違ってとても優しい方だったよ!」
「そうですよね!お嬢様を出口まで送って下さるくらい優しいということですね!」
「そうだね。殿下は忙しいでしょうし、私を送るのには色々配慮しなければいけないことも多いですし、何より私を出口まで送っても殿下に得はないですからね」
トイフェリンを送るにあたって目立つし、目の色を変えてマントを着ていても身分が知られてしまう可能性もあった。
それから、護衛や側近は誰一人居なかった。外で待っているのかもしれないが、皇太子が一人で行動をするのは危険が伴う。
正確な道を辿らないとあの場所にいけないとしても、もしかしたら誰かに襲われたりするかもしれない。
それに、デーゲンには剣という意味が込められており、その通りに先皇帝から代々引き継がれてきた剣がある。
その剣をヴァイゼは所持していなかったが、もしもがあった時どうするつもりだったのだろうか。
「殿下にはお嬢様送るのに得があったんじゃないですか?お嬢様のことが気になっていたりして!」
「え!!それはないよ!殿下は聖女様を好きになるのですから!」
そう言われ動揺しあたふたしてしまった。
「そうですか…。お嬢様にはたくさん愛されて幸せになって欲しいです…。だって聖女様ばっかりじゃないですか!」
「ありがとう。でも主人公だから当たり前だよ。それに私は気にしていないから…」
そう言いつつも、胸が少し痛んでいた。
(殿下はこの先聖女様にずっと片想いしたままなんですから)
うるさくなった心臓を言い聞かせるように、心の中でそんなことを思っていた。
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