第22話 出口に辿り着く
準備を終えたヴァイゼが戻って来た。
「何をしている?」
その時、トイフェリンは顔を手で覆っていた。
「あまり見てはいけないような気がして、目を瞑っているのです」
「そこまでしなくとも、お前なら構わない」
彼の言葉を不思議に思った彼女は問いかける。
「先ほど会ったばかりの私を、そんな簡単に信じては良くないのではないですか?」
「先に信用したのはそっちの方だ。俺が本当に出口まで送らないかもしれないのに」
「確かにそうでした!」
正論を言われハッとし、顔から手が離れてしまっていた。
「でも殿下は優しい方だと思っているので、ちゃんと送って下さると思っていますよ」
今度はヴァイゼの目を見て笑顔を向けた。
「…変わった奴だな」
そう言った彼の顔は一瞬、微笑んでいた。
(え?!今、笑いませんでしたか?!)
自分の鼓動が早くなっているのに気づき動揺する。
(そのお顔でその表情は心臓に悪いです!)
きっとそう考えていた時の彼女の顔は、赤く火照っている。
「どうかしたのか?そろそろ行くぞ」
「大丈夫です!行きましょう!」
何だか恥ずかしくなって勢いよく椅子から立ち上がり、二人は部屋から離れて行った。
ヴァイゼは身分を隠すために、黒いマントを身に着けていて髪の色が分かりづらくなっており、目の色も変えていて皇太子と分かる者は居ないだろう。
二人は出口までの道中で色んな会話をしていた。
話をしていると時間が経つのもあっという間で、気がつけばもう出口が見えていた。
「着いたぞ」
「本当にありがとうございます!この御恩は必ずまたどこかでお会いした時に返させて下さい!」
「恩返しなど気にしなくていい。それに、またすぐ会えるだろう」
「え?それはどういう…」
「あれはお前の侍女ではないか?」
ヴァイゼは言葉を遮り、彼女の後ろを指さした。
それを見たトイフェリンは後ろに振り向く。
「お嬢様ー!!!良かったです!!心配したんですよ!!」
「ごめんね!私がはぐれてしまったから…」
「無事で何よりですー!!」
リナは涙を流しながら、トイフェリンに抱き着いてきた。
「侍女に会えて良かったな。俺はこれで失礼する」
「はい!本当にここまでありがとうございました!」
「お嬢様を送って頂きありがとうございます!」
ヴァイゼが見えなくなるまで二人は深く頭を下げたまま、心の中でも深く感謝していた。
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