第21話 彼の本当の性格
「あなたは―」
トイフェリンの前に現れたのは、銀色の髪に青色の目をした男だ。
青色の目ということは皇帝の家系であり、その若さと低い声からしてヴァイゼで間違いないだろう。
「初めてお目にかかります、トイフェリン・アメテュストでございます。アオスゲツァイヒネトの皇太子である、ヴァイゼ殿下にご挨拶申し上げます」
トイフェリンは髪の色は知らなかったが、目を見てすぐにヴァイゼだと判断して深く礼をし挨拶した。
「何故ここにいる」
「ここには私の侍女と一緒に本を探しに来たのです」
「そういうことではない。この部屋がある場所に何故いるのかと聞いている」
声色からして少し怒っている事が彼女には読み取れた。理由としては隣国の令嬢がいることを怪しんでいるのだろう。
それにアオスの機密情報を持ち帰り、何か仕掛けてくるかもしれないから。
しかし彼女はそんなことをする性格ではないし、ここには迷子になってたまたま辿り着いてしまっただけだ。
だから彼女は恥ずかしがりながら理由を伝える。
「…ここの図書館には初めて訪れて侍女とはぐれてしまい、戻ろうと思っていたのですが迷ってしまって…気づいたら、ここに…」
「ここに来るには正確な道を辿る必要がある。ましてや、初めて来てここに来るとは大した者だな」
鼻で笑われたような気がするが、理由は分からないが怒りは収まったようで安心した。
「初めて来たのなら図書館の地図を貰わなかったのか?」
「頂いたのですが、いつも侍女やお兄様が持ってくれていて、絶対に傍を離れないように言われていたのに、本の種類の多さに気持ちが上がり離れてしまったんです…」
自分の起こした行動が恥ずかしく俯いてしまったが、ヴァイゼは何か考え始め黙り込んでいた。
その後、彼の口から出たのは意外な言葉だった。
「アメテュストといえば、あの執拗なほどに妹に過保護な兄がいる家か…なるほどな」
ヴァイゼは何か納得したように頷いた。
(私の家のことをご存じなんですね…、社交界の場に出ていなくてもこの大陸に住む貴族、皇族のことを覚えているのでしょうか?)
そんなことを考えているとヴァイゼが溜息をついたことに気がつき、彼の方へと目をやる。
「また迷子にならないようちゃんとついて来い。出口まで送ってやる」
「…!よろしいのでしょうか?」
「気にするな。もう帰るからついでだ。準備があるからその間、中の椅子に座って待っていろ」
「はい、ありがとうございます!」
彼女は椅子に座り、奥に入って行った彼の背中に笑顔を向けていた。
(送ってくださるなんて、優しい方なのですね…!やっぱり噂は噂ということです)
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