第20話 迷子の末、出会ったのは
見慣れない景色を堪能しながら歩いていると、時間が過ぎるのはあっという間で気づけば図書館はもう見えていた。
「「え!!!」」
二人は驚きすぎて、他の言葉が出てくるまで呆然としていた。
「これが図書館ですか?!大きすぎないですか?!」
「これは想像していたよりも遥に大きいね…」
「本当は皇宮なんじゃないかって疑うくらい大きいですよ…」
図書館までの道のりを夫妻に教えてもらった時に、大きさも聞いていたのだが。
「聞いてた話と違いますよ!エーデルよりも多少大きいくらいって言ってませんでした?」
「きっとアオスの方たちからしてみればこのくらい普通で、皇宮とか他の建物はもっと大きいのかもしれないね」
中に入るとより大きいのが分かった。
「当たり前ですけど中も広いですね…、天井も高い…」
「迷子になりそうです…」
驚きを超えて若干引いてしまったが、同時にアオスの凄さを思い知らされる。
こ の技術は今のエーデルには無理だろう。管理している人も本も数が比べ物にならない。
「これは図書館を回るのにかなり時間がかかりそうですね。どうしましょうか?」
「二人の好きな種類に絞って、司書の方に場所を教えて頂きましょう」
「さすがお嬢様!いい考えです!」
「ふふ、ありがとう」
早速二人は司書に場所を伺い向かっていた。
本棚は平行に並べてあり、とても分かりやすくなっている。
しかし本棚は高さがあって密集しているため、少し離れたら本当に迷子になってしまいそうだ。
「お嬢様、着きました!ここの辺りが恋愛小説ですね!」
「読んだことのない本がたくさんあるね!私たちが生まれる前に発行された書籍まであります!」
「私の好きな作家さんの本が全作品揃ってます!これは眼福ですよ!」
二人は周りに迷惑をかけないよう、声量に気をつけながら満喫していた。
「リナ!ここにもリナの好きな本が……」
振り返るとそこにリナの姿はなかった。
「あれ?リナ?リナはどこ?」
(これは私が迷子になったの?それともリナが迷子に?と、とりあえず探さないと!)
元の場所に戻ろうと思うも、どんどん奥へと進んで行ってしまう。
実際、迷子になったのはトイフェリンである。リナの好きな本を見つけてすぐにリナを呼ばず、その場所に行ってから呼んだせいだ。
彼女は方向音痴だが当の本人はそのことに気づいていないため、余計に奥へと行ってしまう。
それを知っててリナが地図を持っているので、彼女は自分が今どこにいるのか分からない。
とうとう一番奥まで来てしまった。
(ここは絶対に違う…けど、来た道もわからない…!どうしよう……)
誰か近くに居ないか周りを見渡すと、執務室のような場所があった。
(これは…誰かの部屋でしょうか?)
「すいません!どなたかいらっしゃいませんか?」
そう声をかけると―
「誰だ」
後ろから声がしたことに驚き、肩が跳ねる。
ゆっくりと振り返り、そこに立っていたのは―
「あなたは…!」
読んで頂きありがとうございました!
フェリンが方向音痴に気づいていないのは、シュヴェアがあえて黙っているためです。
方向音痴なのを理由に、シュヴェアはフェリンにぴったりとくっついていたい所ですが、フェリンの性格上迷惑をかけないために直そうとしてしまうので黙っています。
エーデルの図書館では行き馴れているので大丈夫ですが、覚えるまでシュヴェアが付き添っていました。
建国祭では、シュヴェアがアルドに「皇太子でも、もしフェリンが迷子になったら絶対許さない」と言ったので、アルドは街を歩いている間、物凄くフェリンを気にしながら歩いてます。




