第14話 ついに婚約破棄をする
とうとう婚約破棄をする日が来るかもしれない。
トイフェリンが両陛下と会うのは、アルドと婚約したとき以来である。
今日は彼女にとって運命の日。結果によってこの後トイフェリンがどうなるかが決まる。
普段より気合を入れて準備をした。リナがいつも通り支度を手伝ってくれている。
「両陛下にお会いになるなんて、また珍しいですね!」
「大事な話があるの。それから、リナにも終わってから聞いてほしい話があって…」
「わかりました。私はいつでもお嬢様の味方ですからね!どんな話でも受け止めますよ!」
リナはトイフェリンの不安な気持ちを悟って、励ましてくれた。
「ありがとう」
リナの優しさに涙が零れそうになるのを抑え、立ち上がる。
「はい!今日も可愛いですよ、お嬢様!」
「いつもありがとう。それじゃあいってきます!」
「いってらっしゃいませ!」
見送られながら、重い足取りで部屋を出た。
両陛下は同じ敷地には居るものの、建物が違う為かなり歩かなければいけない。
(もうこの皇宮はきっと最後になる…)
向かう道中に皇宮を見渡しながら歩き、皇宮を堪能していた。
十分ほど歩いたところでようやく到着し、扉の前に立っている騎士に声をかける。
「本日謁見の申し込みをしていたトイフェリン・アメテュストです」
「トイフェリン様ですね。お待ちしておりました」
トイフェリンは深呼吸をし心を落ち着かせ、扉を開いた。
中に入ると両陛下は椅子に座っていた。
両陛下も勿論、赤色の目をしている。圧倒的な存在感にトイフェリンの緊張も増していく。
「本日は謁見の許可を頂きありがとうございます。とてもお元気そうで何よりです」
トイフェリンは深々と頭を下げ挨拶をした。
「君からの申し込みには驚いたが、実はこちらからも来てもらうよう頼むつもりだったのだ」
だから返事も謁見の日も早かったのだと納得したと同時に、トイフェリンはある可能性に気がつく。
(え?それはもしかして…)
「付かぬ事をお聞きしますが、それはアルドリック殿下との婚約について、もしくは聖女様についてでしょうか?」
「話が早くて助かるよ。聖女が現れて是非、聖女にアルドと婚約してもらいたいと思っていたんだ」
「あなたはアルドと婚約を続けたくてここに来たの?それとも婚約を破棄したくてここに来たのかしら?」
どうやら両陛下もトイフェリンには婚約を破棄してもらうつもりだったようだ。
トイフェリンの性格が違うことで、両陛下にお願いされ婚約破棄するという方向に変わったようす。
それはトイフェリンにとっては好都合である。
「私は婚約を破棄したいと申し出るつもりでここに来ました。建国祭で聖女様がお披露目された際に、私も殿下とその場に居合わせており、そこで聖女様が殿下に好意をお持ちになったことを視認し、この国の為にも私は皇太子妃になるべきではない、というのが私の考えです」
彼女は昨日に考えていたことを落ち着いて話していく。
「それは良かった!同じ意見なら話し合う必要は無いな」
「安心して。この婚約破棄であなたの名誉に傷がつかないようにしてあるから。それにあなたほど聡明な人なら、そのうち良い人が見つかるわ」
「聖女が現れなかった時、君が皇太子妃なら国も良い方向へ進んで行っただろう」
「身に余るお言葉をありがとうございます」
両陛下はとても喜んでいる様子だった。それに安堵し、トイフェリンも緊張が解けた。
「もう早速手続きに取り掛かるがいつ皇宮を離れるんだ?」
「昨日の内にある程度荷物をまとめていたので、本日中には実家に戻ろうと考えています」
「あら、用意周到なのね。ではまたどこかでお会いしましょう」
「はい。今までお世話になりました。ありがとうございます」
両陛下が婚約を破棄するつもりだったなら、離婚書はすでに用意されていてすぐに婚約破棄になることだろう。
トイフェリンは両陛下の元を離れ、自室で待ってくれているリナの元へ向かって行った。
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