番外編 どうしてもアルドと一緒に寝たい
トイフェリンとのお茶会が終わった後、夜を今か今かと待ち構えていた。
晩餐の時にはいつも通り接し、夜に起こす事を悟られないように。
(どんな反応をするかな?)
湯浴みを終えたソフィアは、アルドの寝室でわくわくして待っている。
使用人たちもソフィアに協力してくれて、今夜はこの寝室には朝までアルド以外誰も来ない。
少しして扉が開かれ、中にアルドが入ってきた。
「え?!どうしてソフィアがここに?!」
「私はアルド殿下と一緒に寝たいんです!!」
「えっ…と、それは…」
部屋に入ったアルドはすぐにソフィアの存在に気づき、驚き慌てた様子でソフィアに近づきながら話しかけてくる。
ソフィアが一緒に寝たいと宣言すると、顔を赤く染め更に動揺していた。
「男の部屋に忍び込むなんて…、一体誰がそのようなことを…」
「フェリン様に教えて頂きました!」
「トイフェリン嬢が!?え…?」
「今日のお茶会の時に、まだアルド殿下と一緒に寝ていないことを相談したら、フェリン様がこの作戦を教えてくれたのです」
アルドはトイフェリンがこの作戦を立てたことに、だいぶ驚いたようだ。
実際、トイフェリンが一人で考えたことではないが。
「っとにかく!僕は別の部屋で―」
「絶対に逃がしません!」
部屋から出ていこうとするアルドの腕を掴み、必死に懇願する。
「どうして一緒に寝てくれないんですか?!理由を教えて下さい!」
「僕らはまだ婚約中だし、気持ちも最近通じ合ったばかりじゃ―」
「フェリン様は婚約中でも一緒に寝てます!それに通じ合ったばっかりって、もう何週間も前の話ですよ!」
一緒に寝ない理由を述べるアルドの意見を、尽く反論していく。
ここまで本音でぶつかり合うことはなかなか無い。
「別に何かして欲しい訳じゃなくて、ただ朝まで一緒に寝られたらそれで良いんです!だって、寂しいじゃないですか!!」
ソフィアの熱烈な想いに負けたのか、アルドは本当の理由を話し出した。
「一緒に寝たら何をするか分からない!僕はヴァイゼ殿のように抑えられる自信がない…」
「えっ!?」
まさかの返答に今度はソフィアが驚いてしまった。
何をするか分からないなんて、言われるとは思っていなかったのだ。
てっきり、ただ恥ずかしがっているだけなのだと。
「だったらその時は私が止めてあげます!」
「本当に良いのかい?」
「はい!例え何回断られても、これから毎晩忍び込みますよ」
「…分かったよ」
ソフィアの覚悟を知って、アルドは諦めた様子。
部屋から出ようとするのをやめ、ベッドの方へ向かう。
「じゃあ寝ようか。おいで」
ベッドに座ったアルドは、ソフィアに向けて両手を大きく開いた。
そこにソフィアは嬉しそうに、勢い良く抱きつく。
「喜んで!!」
トイフェリンの教えた作戦は、ソフィアの根性もあって大成功。
このことをきっかけに、二人はこの先も一緒に朝まで過ごすように。
これにて、完全に完結となります!
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