第11話 聖女の元へ向かう
「さあ、着いたよ。行こうか」
乗るとき同様、手を差し伸べてくれる。
トイフェリンはアルドの手を取り、周囲を見渡して見えたその景色にとても驚いた。
「わあ…!凄いですね!」
建国祭は他の国からたくさんの人が訪れてその中には商人だったり、広場で芸をする人だったりと、とても賑わいをみせる。
トイフェリンはシュヴェアが過保護過ぎて、一番賑わっている所には来たことがなかったのだ。
(都市の中心はこんなにも賑わっていたんですね!見たことないものがたくさんあります!)
彼女は見たことのないものを目の当たりにして、目を輝かせている。
そんな彼女をアルドは微笑ましく見ていた。
「君が喜んでくれると僕も嬉しいよ」
「そう言ってもらえると私も嬉しいです」
今までとは違って会話も弾んで、他愛もない会話をしながら店を回って食事をしたりしていた。
二人は今までで一番、婚約者同士らしく過ごせているだろう。
楽しんでいた中、近くに居た人たちの会話が耳に入ってきた。
「今日は聖女様が現れたらしいよ」
「これでこの国も安泰だな!教会の前でお披露目されんだろ、早く行かないと見れなくなっちまうぞ」
話している声が大きく、周囲でそれを聞いた人々が急いで教会へと向かって行く。
トイフェリンが生まれて十六年間の間も誕生したことのなかった聖女。
そのくらい珍しく聖女にはみんな興味津々だ。
(とうとうこの時が来てしまったのですね)
「気になるのかい?それなら向かってみようか」
まだ昼を過ぎたばかりのため、彼女はもう少し見て回りたい気持ちもあった。
けれど本当の目的は聖女と会ってもらい婚約破棄をしてもらうこと。それを忘れてはいけない。
今日はとても楽しかったが、それももう終わり。
「はい。教会へ向かいましょう」
(これで聖女様にお会いして婚約破棄すれば、今までとはさようならです。今日は最後の良い思い出になりました)
彼女は覚悟を決め、重い腰を上げた。
読んで頂きありがとうございました!
いよいよ次回は聖女の登場です!




