表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢のはずですが、悪役じゃないのは何故ですか?  作者: 希空 蒼
最終章 ダイヤモンド
107/110

第99話 一輪の花

 そんな甘い休日もあっという間に終わりを迎え、アオスでは二人の結婚を祝うパレードが開かれる。


 これから二人は街の大きな通りを進んで行くのだが、今は待機中だ。

 騎士たちが道を整備しているのを待っている。


(大丈夫かな…)


 ヴァイゼがトイフェリンと婚約したことは国中に広がっているものの、国民の前できちんと顔を出したことはない。

 それもあって、トイフェリンは心配をしていた。


 貴族からの祝福も勿論、心から祝っている人もいれば内心で良く思っていない人もいたはずだ。

 トイフェリンは貴族社会を理解しているし、人の意見はそれぞれあるのが当たり前だと考えいる為、婚約パーティーでは気にすることはなかったのだが。


 しかし国民は違う。

 出来るだけ、トイフェリンは国民の暮らしを理解しようと努力はしているけれど、百万人以上も暮らしているこの大きな領地全てのことを把握することは出来ない。


 良く思う者、良く思わない者で分けた時、貴族の何倍もの人がいる。

 不満を持ち、皇族へ反逆しようものなら、一家の貴族よりも脅威的なのだ。


 そのことをトイフェリンは心配していた。


「胸を張れ、何も心配することはない。例え何かあっても二人なら大丈夫だ」

「…!はい!」


 トイフェリンは顔を上げしっかりと前を見据えて、ヴァイゼとフロート車に乗り街の中を進んで行く。


 街からは大きな歓喜と祝福の声が上がっている。


「おめでとうございます!!」

「ヴァイゼ殿下!トイフェリン妃殿下!お幸せに!!」


 などと聞こえてくる。トイフェリンの心配は杞憂だったのかもしれない。


「皆はエーデル出身など関係なく、フェリンのことを迎え入れてくれている。フェリンがアオスに訪れ、婚約しこの国に尽くしていることを皆知っている。不満を持つ者はいない」


 ヴァイゼが温かい言葉をかけてくれている。何だか、結婚してから更に甘やかされているような気がしなくもない。


「不満を待つ人って言ったら、ヴァイとの婚約を狙ってた令嬢くらいじゃないか?」


 後ろで護衛としてついているアクストがそう言った。


「どの令嬢もフェリンには勝てないだろう」

「そうだね。容姿、性格、知能とかもろもろ勝てないでしょ」

「は、恥ずかしいです…!」


 堂々としていなければいけないのに、恥ずかしくなって俯きたい。

 そんなに誉められては顔が赤く染まっているのが、化粧をしていても国民に気づかれてしまいそうだ。


 街を通り抜け、パレードは終わりフロート車から降りる。

 すると、一人の女の子がこちらに走って来た。


「おめでとうございます!これ、わたしがそだてたお花です!うけとって下さい!!」


 そう言って少女が差し出したのは一輪の白い胡蝶蘭。


「ありがとう。大切にするね」

「うん!!」


 トイフェリンは花を受け取り、少女は街の方へと戻って行った。


「良いものを貰ってしまいました。とてもかわいい女の子でしたね」

「そうだな」


 その花は二人の寝室の一輪挿しに大切に飾ることにした。


 あれから数週間後、二人に幸せな出来事が。


読んで頂きありがとうございました!


白い胡蝶蘭の花言葉は、「幸せが訪れる」、「純粋な愛」、「清純」などです。

二人に訪れた幸せとは…?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ