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悪役令嬢のはずですが、悪役じゃないのは何故ですか?  作者: 希空 蒼
最終章 ダイヤモンド
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第98話 二人の休日

「ん…」

「起きたか?」

「おはよう…ございます」

「おはよう」


 トイフェリンは目を擦りながら答えた。


「身体は大丈夫か?」

「はい。大丈夫そうです」


 昨夜、ヴァイゼがかなり優しくしてくれていたのだろう。

 身体は割りと平気だ。動いても辛くない。


 何だか今日は、一段とヴァイゼが輝いて見える。愛し合ったおかげなのだろうか。

 だけれど、目が合っていると昨夜を思い出してしまって恥ずかしくなってしまう。


「今日はどうする」

「今日はですね、したいことがあるのです」


 皇太子妃になって仕事が増えたり、たくさんの人を招く大々的なパーティーが控えているものの、結婚後少しの間を休日としてお義母様が用意してくれた。


 なので、この後昨夜の続きをするのもよし。どこかへ出かけるのもよし。

 二人で好きなことが出来る。


 けれどトイフェリンにはどうしてもしたいことが。


「楽しみに待ってて下さい!」

「分かった」


 トイフェリンは準備を終え、ある場所に向かった。


 厨房だ。トイフェリンのしたいこととは、お菓子を作ること。

 お礼で渡したあれから再びお菓子を作る機会がなく、ヴァイゼに振る舞うことが出来ていなかったのだ。


 そこで、この休日を使ってお菓子を作ることを考えた。


「よし!美味しいのが出来るように頑張ろう」


 トイフェリンはお菓子作りを始めた。


 城の厨房を使うのは始めてで、料理担当の使用人たちを困惑させてしまって申し話ない。

 皇太子妃が料理をするとは思わなかっただろう。


 実家での反応に馴れすぎてしまって忘れていた。

 普通は驚いて当たり前だ。


「出来た!!ヴァイ殿下に持って行かなくちゃ」


 出来上がったものを分けて、使用人たち全員の分も用意する。

 これはトイフェリンの中で昔から決めていること。


「お待たせしました」

「これは何と言うお菓子だ?」

「チーズケーキです!」


 トイフェリンが作ったのはチーズケーキ。ヴァイゼが甘いものがあまり得意ではないことを考慮して、本来砂糖が多く入っているが作ったものは結構控え目にしてある。


 チーズケーキを選んだ理由として、チョコより甘くないことに加えて、甘さよりも酸味があるからだ。

 このチーズケーキなら、ヴァイゼも食べられるだろうと。


「ど、どうですか?」

「美味しい」

「良かったです!」

「食べるのが勿体ないな」


 そう言ったヴァイゼは笑みを浮かべている。

 その姿を見てとても嬉しいけれど、作った身としてはやはり全部食べてもらいたい。


「でしたら味わいながら全部食べて下さい!」

「そうする」

「あ!私の分も食べますか?そしたらたくさん味わえますよ!」


 トイフェリンは机に置いていたチーズケーキの乗った皿を持ち、ヴァイゼに渡そうとした。

 けれど、それはヴァイゼに止められる。


「一緒に食べた方が美味しいだろう?ほら」

「ふぇ!?」


 ヴァイゼにチーズケーキの乗ったフォークを逆に差し出されてしまった。

 驚いて変な声を出してしまって恥ずかしい。


 それを食べようにもトイフェリンの両手にはチーズケーキが。

 机に置けばいいのだが、驚きと恥ずかしさにより、トイフェリンの思考は混乱している。


「い、頂きます!」


 差し出されたまま待たせるのは良くないと考え、意を決して頂いた。


「美味しいです…」


 本当に厨房で味見をした時より美味しく感じられる。


 顔を赤く染めながら頬張っているトイフェリンを、ヴァイゼは愛おしそうに見つめていたが、それを意識すると更に顔が真っ赤になってしまいそうで、気づいていないふりをした。


(このような感じでは、休日の間心臓が持ちそうにありません!!)

読んで頂きありがとうございました!


初夜の話が書けない分、今回の話でイチャイチャを補給しました!

こんな甘々な新婚生活、憧れます…!

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