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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

TSモノ短編

TS少女は伸ばしてくれた手を離したくない

作者: テステロン


 あの日、目の前に差し出された手を、きっと私は一生忘れない。


 

 ◆



 朝、ベッドから起き出して台所へ向かうと、そこにはもう人の姿があった。

 少し遅れたかな、なんて思いながら近づくと、彼――陽さんはこちらへと振り向く。


「おはよう」

「おはようございます」


 目の前で柔和に笑い、挨拶をする人にこちらも返す。

 ……相変わらず優しい笑顔だ。そう思う。

 

 彼と暮らし始めてもう数年も経つのに、私は未だにその笑顔を向けられると目を逸らしてしまうことがあった。


 ……だって照れるから。


「ご飯作ってくれてるんですか?」

 

 顔から目を逸らしつつ、彼の手元をのぞき込むと、フライペンの中で調理途中の目玉焼きが震えていた。どうやらまだ出来上がっていないようなので、手を洗い、エプロンをつけ、彼の隣に並ぶ。


「まあ、朝くらいはね。最近は緑に任せっぱなしだし」


 私に任せっきりって……別にいいのに。


 確かにこの家の家事は基本的に私がやっているけど、それは私が好きでやっていることでもある。

 

 何せ生活費を出しているのは彼だ。

 まだ高校生の私は、彼に頼る形で生きているのだから。


 ……まあでも。その気持ちはとても嬉しい。

 気遣ってもらえて嬉しくないはずがない。いつも優しい彼の顔がいつもの五割増しでかっこよく見える。

 ちなみに陽さんの顔はすっきりとした感じのイケメンだ。身長も高く、スタイルもいい。

 

「ありがとうございます――あ、私は野菜を切りますね」

「うん、お願い」


 まな板を取り出し、彼の隣に置く。私は付け合わせのサラダを作ることにした。

 冷蔵庫からトマトを取り出して、四つに割っていく。

 

「実は、ようやく仕事がひと段落着きそうなんだ」

「そうなんですか?」


 そう言って笑う彼の職業は漫画家だ。

 

 現在二十五歳で、そこそこ名の知れた漫画雑誌で連載を一本持っている。

 ある程度名も知られていて、誰もが知っているわけではないが、知っている人は知っている……みたいな感じだろうか。


「完成したら読んでもらえるかい?」

「もちろん」


 そしてそんな彼が書いた原稿を真っ先に読むのが私の役目だったりもする。

 

 誰も読んだことのない初稿を読ませてもらえるというのは嬉しいし、結構な優越感もある。クラスの男子が私が数週間前に見た彼の漫画を読んでいたりすると、口元のゆるみを抑えきれない。


「今回もお疲れ様です」

「ありがとう」


 彼を労いつつ、皿を出し、朝食をそこに盛っていく。

 そして、彼と一緒にリビングへと運び――。


「――」


 ふと、リビングの窓に私の姿が映った。

 もうすっかり慣れたその顔は、彼とは似ていない、ぼんやりとしたものだ。


「……」

 

 一緒に暮らしているけれど、私と彼の間に血の繋がりはほとんどない。

 一応少しはあるけれど、何親等離れているのかもわからないくらいだと聞く。

 

「緑?」

「……あ、はい。今行きます」


 そんな遠い親戚にあたる彼は、三年前私を救ってくれた恩人だった。



 ◆



 突然人の性別が変わってしまう病が世界に広がったのは、今から七年前のことだった。

 遠い国のジャングルの中で生まれたというその病は、ゆっくりと、しかし確実に世界中へと広がっていき、五年前には日本の中でも広がり始めていた。


 性転換病と俗に言われるその病は、今でこそ感染率がとても低く、罹っても特定の遺伝子配列を持つ人間のみが発症すると分かっているが、当時は世界の終わりのように騒がれていたのを今でもよく覚えている。


 なにせ、いきなり性別が変わるのだから。

 外見が変わり、身長が変わり、体の動かし方も変わる。そんな病を恐れない人は殆どいなかった。


 それは私のいた田舎でもそうだ。 


 その頃、私が暮らしていたのは生まれ育った実家で、付近に学校が一つしかないようなさびれた場所だった。

 そこでの、田舎では珍しく教育熱心な両親と、出来のいい兄に囲まれての生活。

 

 勉強も運動も苦手な私は、出来が悪いとは言われていたけれど、だからと言って虐待されることもなく、肩身が狭いながらも私は普通に生きていた。


 ――あの日までは。


 四年前のあの日のことは今でも鮮明に覚えている。

 朝起きたら体が痛くて、上手く動かせなかった。助けを求める声も知っているものと違う音の高いもので。


 ……私は、性転換病にかかっていた。

 確かに男だったはずの体は女性のものになっていて。

 

 私はすぐに病院に入院することになり、隔離された。


 突然、誰にも会えずに過ごすことになって。

 孤独な病室の中で、しかし連絡をくれる人は誰もいなかった。


 そして一年の隔離の末、ようやく特定の人間にしか発症しないとわかり、ようやく退院が許可されて――でも、そんな私を待っていたのは新しい地獄だった。


『近づくな!』


 父に怒鳴られ、母に塩を撒かれた日のことを今でもはっきりと覚えている。

 父の剣幕に怯えるままに、納屋の中に押し込まれ、そこから出ないでと母に甲高い声で泣かれた。


 混乱し、薄暗い納屋の中で体を縮めていると、ふと手に何かが当たって――。


 ――それは乱雑に投げ込まれた私の私物だった。


 布団に教科書、鞄に制服。

 納屋の床で泥まみれになっているのは私の服だった。


 次の日からはまた新しい隔離生活だ。

 もっとも、病院の方がはるかに環境は良かったけれど。毎日三度の食事が差し入れられる事だけが、せめてもの救いだった。


『いつまで続くのかな』


 薄暗い納屋の中、そう呟いたことを覚えている。

 病院の時は一応終わりが見えた。でも今回は? そう思い、不安で涙を流したこともある。私は一生この中で過ごすのだろうかと。


 ……そして、そのまま三つの季節が過ぎた。


 退院したのは春で、夏が終わっても、秋が通り過ぎても私は納屋の中だった。

 毎日毎日、小さい窓からこぼれる光で教科書を眺めるだけの日々。


 そんな生活を続けるうちに私はだんだん弱っていって――。


 ――あの日が来た。

 その日は朝から両親が私に外に出るなと怒鳴りつけ、わざわざ外からつっかえ棒までしていって。

 

 すっかり心の折れていた私は、疑問に思いながらも言うことに従い、納屋の隅で教科書を眺めていた。


『……?』


 ……そんなとき、ふと、声が聞こえて来た。

 遠くから子供の声が聞こえることに気付く。


『……ああ、今日は』


 それでようやく、その日が大晦日であることを知った。

 親戚一同が集まって、皆で宴会をする日。そういえばさっき聞こえた声も親戚の子供の声に似ているような、と。


『……正月も、この中なの?』


 悲しくて、でも涙は枯れ果てていて。

 寒さで凍える体に布団を巻き付けて震えていた。


 ――そんなときだった。


『ここに誰かいるのか?』


 すぐ近くで声が聞こえた。

 その声が、その人こそが――。



 ◆



「では、行ってきます」

「ああ、行ってらっしゃい。車に気をつけて」


 靴の先をトントンとしつつ、彼に登校することを伝え、彼も笑顔で見送ってくれる。

 扉を開け、玄関を出る。するとそこには小さな庭が広がっていて。


 漫画家として成功しつつある彼は、その印税を使って都心から少し離れた郊外に庭付きの一軒家を買っていた。

 そんな広めの一軒家に彼と二人で暮らしているのが私になる。


「……優しい人だよね」


 通学路を歩きつつ、つい呟く。

 本当に、そう思う。

 

 私はいつも彼に救われている。

 今の穏やかで幸せな毎日がどれだけ幸せなことか、私は知っているから。


 彼に感謝しているし、こんな日々が続けばいいと思う。


「……」


 ……でも。


 でも、その事を実感しているからこそ、湧きだしてくる罪悪感もあった。

 彼に感謝しているけれど、しかし、悔やんでもいる。


 ……だって彼は、私のために婚約者と――。


「――どうすれば、この恩を返せるのかな」


 陽さんに会えてよかった。

 救ってもらえて本当に嬉しかった。その気持ちに嘘はない。


 でも罪悪感も確かにあって。

 ……どうやって彼に報いたらいいのかそれが私には分からなかった。

 


 

 

 =======================



 偶に、夢を見ることがある。

 それは寒い納屋の中で一人震えている夢だ。


 苦しくて、悲しくて、恨めしくて。

 ――きっと、私はこの夢を一生見続けるのだろう。そう思った。



 =======================


 


 

 放課後、家に帰ってくると、彼は機嫌の良さそうな顔でゲームをしていた。

 テレビの中で大きなモンスターと戦っている姿を、リビングの椅子に座りながら眺める。


 彼は結構ゲームが好きで、原稿に余裕があるときは必ずいそいそとテレビの前に移動しているようだった。ちなみに余裕がない時にもしていることがあって、担当さんに怒られている姿を偶に見る。

 

「……あれ、緑?」


 特にすることもないので、お茶を飲みながら彼がゲームしているところを眺めていると、一瞬画面が暗転した画面に私の姿が映りこんだ。


 それで気付いたようで、彼はこちらを振り向く。


「……いや、これは違うんだよ。ちょっとした休憩で」


 何も言ってないのにバツの悪そうな顔をして言い訳をする彼は、きっとまだ仕事が終わってないのだろう。

 こんな時は何も言わずにコーヒーを淹れると、彼が大人しく仕事に戻ることを、私はこの三年間で知っていた。


「ほんの少しだけだったからね、ほんの少しだけ」

「はい、頑張ってください」


 お湯を沸かしながら、ぶつぶつと呟きながら部屋に戻っていく彼を見送り、数分後に淹れたコーヒーを持って彼の部屋を訪れる。


 彼は部屋の隅に置かれている大きな机と沢山のモニターの前で、漫画と向き合っていた。

 何も言わず横にコーヒーを置くと、彼は画面から目を離さず、ありがとうと礼を言って啜り始める。


「……」


 そんな姿を見ていると、絵になるなあ……なんて思う。

 高そうなオフィスチェアに座った高身長のイケメンがコーヒーを飲んでいると、本当に絵になる。ドラマのワンシーンみたいだ。


 でも邪魔してはいけないので、少しの時間だけど、しっかりと目に焼けつける。

 そして部屋を出ようとして――


「――あ、緑ちょっと待って」

「はい?」


 珍しく呼び止められたので立ち止まる。

 彼はこちらに紙の束を差し出していた。


「途中までだけど、ちょっと読んでみてくれない?」

「あ、はい!」


 きっと来月の雑誌に載る原稿だろうと、受け取り、めくってみる。

 すると、そこには想像通り、先月からの続きが書かれていた。


 いそいそと部屋の隅に置かれた椅子に座り、読み始める。


「……」


 私は以前からこの時間が好きだった。

 本来なら読めないはずのものが読める。作者と編集者しか知らないはずの物を見ることが出来る。彼の漫画の、最初の読者になれる。


 漫画の内容も好きだけど、彼に特別扱いされていることが嬉しかった。


 ……

 ……

 ……


 ……そして、しばらくして原稿を読み終わると。彼は少し不安そうな顔をしてこちらに問いかけて来た。


「どうだった?」

「面白かったです」

 

 いつも通り、面白いストーリーを綺麗な絵が彩っていた。

 残りの数ページがすぐにでも読みたくなるような、そんな面白さ。


「……よかった」


 そう伝えると、彼は安心したように肩を撫でおろす。

 私から見るといつも面白いので、そんなに不安にならなくてもいい気がするけれど。書いている人からすると違うのだろうか。


 私なんて面白いしか言わないし、大したことは言えないんだけど。


「いやいや、その言葉が欲しいんだよ。……ああ、でも面白くなかったときはちゃんと言ってね」

「はい」


 コーヒーを啜って笑う彼を見ながら、手に持った原稿をまとめて、渡し――。


「――」


 ふと、あるものに、目が留まった。


「……」


 それは一通の手紙で、机の隅に置かれている。

 それだけなら別に珍しくはない。彼の元には多くの郵便物が届くし、それをポストからとってくるのは私だ。


 ……でも、その手紙に書かれた名前は。


「ん、ああ、それはなんでもないんだ」


 彼の手が伸びてきて、その手紙を回収する。

 そして、机の横の紙が積んであるところに乗せた。


「……そうですか」


 それだけをなんとか返し、全身から血の気が引いていくのを感じながら部屋を出る。

 あの手紙には……。


「……あれ、陽さんの元婚約者の」


 そのはずだ。

 三年前とはいえ、その名前はよく覚えている。その姿も。


 キリっとした美人さんで、お洒落でスタイルも良い人。

 陽さんと並んでいると美男美女でとても絵になっていたように思う。


「……」


 連絡、まだ取ってたんだ。

 婚約はもう無くなったはずなのに。


 でも、それはそうなのかもしれない。

 だって一度は婚約まで行ったんだから。元々仲が良かったのは間違いないだろう。


 不思議じゃないし、そういうこともあると思う。

 理解もするし、否定なんてできるはずがない。


「……」


 ……いや、むしろ良いことなんじゃないだろうか。

 

 だって、私のせいで陽さんの婚約は無くなったのだから。

 私を連れて帰ると陽さんが言って、婚約者と喧嘩になっていたのを私も見た。


 それが元に戻ろうとしているのなら、それはきっと、祝福するべきことで。

 元凶の私はおめでとうと、そう言わなければならないはずで。


「……でも」


 でも。それなのに。

 それはわかっているのに。


「……胸が痛いよ」


 胸の辺りがズキズキして、そんな痛みに耐えられなくて。

 私は廊下に蹲って、強く胸を抑えた。





 =======================



 小さい頃のことを思い出す。

 まだ私が僕だった頃。正月に親戚のお兄ちゃんに遊んでもらった記憶。


 ……あの時、僕とキャッチボールをしてくれたのはきっと陽さんで――。

 ――そして、私は確かに男だった。



 =======================



 


「おはよう……目、赤いけど大丈夫?」

「おはようございます。大丈夫です」


 朝。

 心配してくれる陽さんに問題ないと伝えながら朝ごはんの準備をする。


 大丈夫じゃない。大丈夫じゃないけど……でも、私にはそれしか言えない。

 昨日の夜は結局一秒も寝られなかった。辛いしふらつきそうになるけど……でも陽さんに理由は言えない。


「何かあったら眼科行きなよ?」

「ありがとうございます」


 お礼を言いながら、でも心の中で少しドロドロとした想いが湧き上がる。

 彼は例の婚約者のこともこうして心配しているのだろうか?


「……」


 ……陽さん。今でも婚約者さんのこと好きなのかな。


「……っ」


 思わず何かがこみ上げてきそうになるのを必死に抑える。

 胸が痛くて、苦しくて、耐えられない。


「……なんでだろう」


 陽さんに聞こえないように、小さく呟く。

 私は何でこんなに苦しんでいるのか。


 ……なんて、分かりきったことか。

 自分のことながら、下らないことを考えたものだ。


「……」


 ……そんなもの――私が陽さんのことを好きだからに決まっている。


「緑、本当に大丈夫? 調子悪そうだけど」

「大丈夫です」


 心配してくれる陽さんに、必死に作った笑顔を向ける。

 そうだ。私はこの人が好きだ。


 あの日、納屋から連れ出してくれた時から、ずっと。

 あのとき差し出してくれた手を、私は覚えているから。


 大好きだし、愛しているし、ずっと一緒にいたいと思う。


 ……でも、その思いは伝えられない。

 伝えられるはずがない。だって、釣り合わないから。


 陽さんは優しくて、外見もよくて、おまけに収入まで高い人だ。

 そんなすごい人に、私なんかが相手にされるはずがない。


 だって、私は頭が悪くて、運動も出来なくて。

 顔は……まあ、変わった後の物はだいぶマシになってる気がするけれど、スタイルも悪いし、背も低い。


「……」


 ……そしてなにより。

 私は、元は男だったのだから。



 ◆



 なんとか作った朝食を食べ終わり、そのまま家の家事に取り掛かる。

 今日は休日で、学校も休みだった。


「緑も遊びに行ってもいいんだよ?」

「いえいえ」


 気を使ってくれているけど、これも私が好きでやっていることだ。

 少しでも貰った恩を返したいと思うから。


 ……好きだとは言えないけど、でも彼の役に立ちたい。


「いつもすまないね。まだ学生なのに」

「ふふ……それは、言わない約束ですよ」


 ちょっとした冗談に、二人して笑う。


 そうだ。私は今のこの雰囲気が好きだ。

 些細な冗談を言ったり、言われたりして。二人で笑うことも出来て。


 こんな日々がずっと続けばいいと思うし、続くように努力したい。


「……」


 ……だから、伝えられない。伝えてはならない。

 きっと断られて、気まずくなってしまうから。


 元男の私が告白したって、きっと気持ち悪いと思われるだけだから。

 そうだ、だから、こんな関係を崩すことなんて、出来るはずが――。



 ◆



「宅配便でーす」

「はい、今行きます」


 昼過ぎ、家のチャイムが鳴ったのでインターホンのモニターを見ると、大きな荷物を抱えた配達員の人がいた。

 待たせるのも申し訳ないと、急いで表にでる。


「ありがとうございましたー」


 ずっしりとした荷物を受け取ると、配達員の人が帰っていく。

 腕に重く圧し掛かる重量にふらつきながら、なんとか玄関に荷物を置くと、出版社からの宅配便だった。


「……ふう」


 溜息をつきながら、そういえば新刊がもうすぐだったっけ……なんて思いながら扉から出る。荷物を取りに来たついでに郵便受けの中も確認しようと思った。


 庭先にある小さな箱のふたを開け、中を確認し――。


「――」


 ――いくつかの手紙の中に、一通の封筒があった。

 それは、昨日彼の机に会ったものと同じ封筒で。


「――」


 思わず破り捨てそうになるのを抑えながら、家の中に戻る。

 そして陽さんの部屋に向かい、扉をノックした。


『はい』

「出版社から荷物が届いていましたよ」

『荷物……あ、献本かな?』


 陽さんがいそいそと部屋から出てきて、玄関へと向かう。

 重い荷物の時は陽さんが取りに行くのがルールになっていた。


「……」


 私は、陽さんが出ていった後の扉を潜り、机の上に届いた封筒を置く。

 ……元婚約者からの手紙は、他の封筒に隠れるように置いた。


「……」


 やっぱり、頻繁に連絡してたのかな。なんて思う。

 二人は今でも仲が良くて、手紙なんかでやり取りしちゃったりして。


 私は知らなかったけど、実は二人は仲直りしていたのかな。


「……」


 でも仕方ないよね、と考える。


 仕方ないことだ。

 これは仕方ないこと。


 そもそも私はあの二人にとって部外者で。別の視点から見れば二人を邪魔したお邪魔虫でしかない。


 だから、痛いし苦しいけど、でもこれは仕方のないことだ。

 耐えなきゃいけないし、我慢しなくちゃいけない。


 大丈夫、だって私は耐えることに慣れているから。


「……」


 大丈夫。私ならきっと大丈夫。

 諦めるのには慣れてる。私は色んなものを諦めて来た。


 いつもそう。出来の悪い私はいつだって二番目以下だった。


 だから。

 だから……。


 ……もし、もしも、仮にだけど。


 ……仮に、二人が仲直りして。


 そして結婚式があったりとかしても、きっと。

 ちゃんと、祝福の言葉を……。


「……だ」


 おめでとうって。

 幸せになってねって。


 神父さんの前でキスする二人に、ちゃんとそうやって……。


「……だよ」


 言える、はず。

 言わなきゃいけないはず。


 ――なのに。


「いやだよぉ……」


 涙がこぼれて来た。

 一滴、頬を伝ったかと思うと、次から次へと溢れてくる。


「ひっく、……やだ、やだよぉ……」


 耐えられない。

 胸が痛い、苦しい。

 

 こんなに苦しいのに、もう本音を隠すことなんてできない。


「やだぁ……私と結婚してよぉ……」


 陽さんが他の人と結婚するなんて絶対に嫌だった。

 私が結婚したいし、ずっと一緒にいたい。


 でも、でも……。


「……どうすれば、ぐすっ……いいの?」


 告白なんて出来ない。

 出来るはずがない。


 断られたら、そう思うだけで体が動かなくなる。


「……でも」


 それでも、諦められない。

 諦めないために、何かしたくて。


 ズキズキと心が痛む。

 この痛みをどうにかしたかった。


「……あぁ」


 そんなとき、一つの答えが浮かび上がって来た。

 睡眠不足で濁った脳で考え出した、たった一つの答え。


「……ゆ、誘惑、すれば……?」


 わからない。

 どうすればいいのかわからない。


 それが正しいのかも、間違っているのかもわからないから。

 だから、ボロボロの頭で弾き出したその答えに、私は縋ることにした。

 


 ◆



「誘惑する……絶対にする……」


 客観的に言って、私はもう追い詰められている。

 だって元婚約者からの手紙が二日続けて届いているのだから。


 もしかしたら、もう話が進んでいるかもしれない。

 私は昨日まで全く知らなかったけど、毎日学校に通っている身だ。陽さんが一人で行動する時間なんていくらでもあったはず。


「誘惑……」


 元は中学生男子だったのでわかる。

 男の性欲と言うのはとても強くて、美味いことやれば元男の私だって陽さんの目を引けるかもしれない。


 そうすればきっと……。


「……」


 だから、急がないと。

 今すぐにでもできることをして……。


「……私だって、できるんだから」


 当然、誘惑の仕方くらいは知っている。

 昔はその手の本だって見たことあるし。もう四年前だけど。


「……」


 ……頑張る。頑張らないと。

 もしかしたら嫌がられるかもしれないし、嫌がられたらと思うと怖い。

 想像するだけで泣きたくなる。


 でも、好きだから頑張る。

 ……そう、私は決めた。




 

 =======================



 夢を見る。

 私は何度も同じ夢を見る。


 あの納屋での日々を。暗く、寒かった記憶を。孤独に震えていた頃のことを。

 私は一生忘れないだろうし、忘れられないだろう。


 ……でも。だからこそ。

 

 私は、手を差し伸べてもらったときのことも忘れない。

 あのときの嬉しさも、手の温もりも。


 ……きっと、一生忘れない。



 =======================



 


「頑張る」


 次の日。日曜の朝。

 私は改めて覚悟を口にし、気合を入れた。


 絶対にやるという覚悟。

 逃げてしまいそうになる足を押さえつけるための気合。


 相変わらず昨日もあまり眠れなくて寝不足でフラフラしているけど、そんなものは根性でねじ伏せる。


「……とりあえず、抱き着けばいいよね……?」


 おぼろげな記憶の中ではそんな感じだった。

 赤くなっている男子学生に女教師が胸を押し当てて……みたいな。


 確かそんな感じだ。

 だからそれを私も真似すれば……。


「……胸」


 なんとなく、視線を下げて足元を見る。

 ……遮るものは何もなく、あっさりと足元が確認できた。


「……」


 いきなり計画が頓挫した気もする。

 これで本当に大丈夫なんだろうか。


「……いや、今更引けない……」


 首を振り、見なかったことにする。

 ……そして、私は頬を軽く叩いて気合を入れ、陽さんの元へと歩き出した。



 ◆



 リビングに顔を出すと、陽さんはゲームをしているところだった。

 一昨日と同じく、コントローラーを持ち、画面に向き合って――。


「――ん、緑?」


 しかし、今日はすぐに私に気付く。

 そして一瞬気まずそうな顔をして……すぐに得意げな顔に変わった。


 ゲームしてますが、なにか? と言わんばかりの顔。

 恐らく原稿が終わったのだろう。己の正当性を主張するように自信満々の態度を取っている。


 ……普段は落ち着いた感じなのに、こういう時だけは子供みたいな態度を取るところ、私は結構好きだった。


「……」


 いや、今はそれはいい。

 それよりも、やるべきことをやらないと。


 予定していた通りに、陽さんのもとに一歩一歩近づいていく。

 彼はそんな私を見て不思議そうな顔をしていた。


 ……やる、やるんだ。

 こう、抱き着いて、体を押し付けて。


 そうして、そうすれば、きっと。

 頭がおかしくなりそうだし、足は震えてきそうだけど、頑張る。頑張らないと。


「緑?」


 首を傾げる陽さんに近づく。

 あと二歩。あと一歩。そして――。


「――あ」

「緑!?」


 その時だった。いざというところで、足がもつれた。

 自分で自分の足に躓いて、前へと倒れる。


「――驚いた。危ないから気をつけなよ」

「……」


 気付くと、私は陽さんの膝に倒れ込んでいた。

 体の下に陽さんの手が差し込まれていて、上手く支えてくれている。


「立てる?」

「……」


 陽さんの声が聞こえてくる。

 私を気遣うような、優しい声色。


 ……でも、私はその言葉を素直に聞くことが出来なかった。


「……うぅ」

「緑?」


 じんわりと目に涙がにじむ。

 自分のどんくささが情けなくて、泣きそうになって来た。


「緑、どこか打った?」

「……」


 動かない私を見て、陽さんが慌てたように動き出す。きっと私が怪我をしたと思ったんだろう。でもそれは違う。怪我はない。陽さんがちゃんと受け止めてくれたから。


 だから、今私が陽さんの足にしがみついているのは、ただ情けなくて顔を上げられないだけ。絶対にやると、そう覚悟を決めたこともまともに出来ない自分が、情けなくて仕方なかった。


 ……いつもそうだ。

 私は不器用で、情けない。つまらない人間。


「緑?」


 心配する彼に大丈夫だと伝えたくて、頭を振る。

 声で大丈夫と伝えたかったけど、泣きそうで、声が出てこない。


「……緑、どうしたの?」

「……」


 少しして、私が動かないのが痛みによるものでないとわかったのか、落ち着いた様子で陽さんが話しかけてくる。


 膝の上で蹲る私を、無理に引き起こさない優しさが嬉しかった。


「動きたくないのかな?」

「……」

「そっか……でもなんか、久しぶりだね。緑を膝の上に乗せるの」

「……」

 

 ……そういえば、となんとなく思い出す。

 そうだ。ずっと昔、陽さんに膝の上に乗せてもらった記憶がある。


 それはこの家に来た後じゃない。

 もっと昔、私がまだ子供で、男だったときだ。


 当時、私は正月にやってくる優しいお兄ちゃんに懐いていた。

 親戚や両親は出来のいい兄ばかりかまって、私はいつも部屋の端にいて。そんなときに話しかけてくれたのが陽さんだった。

 

 二人で外に出てキャッチボールをしたり、膝の上に乗せてもらって一緒にゲームをしたり。そんな時間が私は大好きで――。


「たしか、あの時はこんな感じで頭を撫でたっけ」

「――あ」


 ポンポン、という感触。

 頭に暖かいものが乗せられる感触があった。


「……」


 それを感じていると、嬉しくて、暖かくて。

 少しだけ、気が楽になってくる。


「緑、今日はどうしたの?」


 上から優しい声が降ってくる。手も変わらず頭を撫でてくれている。

 それを聞いていると、感じていると、もう色々と訳が分からなくなってきて。


 頭は重いし、泣きそうだし、でも陽さんは暖かくて。


「……だ、抱きつきたかった……」


 気付けば、私は正直に口を開いていた。



 ◆



「……抱きつく?」


 不思議そうな声。

 それはそうだ。私自身、変なことを言っている自覚がある。


「なんで、抱きつこうとしたの?」

「……陽さんに、どこにも行って欲しくない」

「……僕が?」


 疑問の声を出しつつも、しかし陽さんは私の頭を撫で続けてくれている。

 それが気持ちよくて、もっとして欲しくて。


 ――こんなに暖かいもの、絶対に手放したくないと思う。

 これからもずっとこういうことをして欲しいし、傍にいて欲しい。


「僕はどこかに行く予定はないよ?」

「……うそ」


 ……それは嘘だ。

 だって、確かに私はあの封筒を見て――。


「……手紙が来てた」

「手紙……?」


 悩むような声。なんでそんな声を出すんだろう。


「もしかして、あれか? ……あの、僕の元彼女の」

「……え、う、うん」

 

 突然声が低くなってびっくりする。

 え? なんでそんな怖い声を出すの?


「あんなもの、一応読んだけどすぐに捨てたよ」

「……へ?」


 捨てたって……なんで?


 だって陽さんは、私がいたからあの人と別れたわけで……だから、まだ好きでもおかしくないって、私は思って。


「いやいや、そんな訳ないでしょ」


 しかし、そう質問すると、陽さんは呆れたような声で否定した。


「確かに緑のことが最後の切っ掛けではあるけどさ。元々婚約なんて終わる寸前だったんだよ」

「え……」


 えっと、どういうことなんだろう。

 わたしはずっと、勘違いしてた?


「価値観が合わなかったんだよね……婚約して、同居するまでは仲良かったんだけど。同居するとお互いの嫌なとこが色々見えてきてさ……」


 ……まあ、そういう話は聞くけれど。

 

「だから、緑のことが無くても、結局別れてたと思うよ」

「……」


 ……そう、だったんだ。

 突然の事実に上手く頭の中で整理できないけど……。


 ……つまり、陽さんはあの人と結婚はしない?


「……」


 ……じわじわと、喜びが湧いてきた。

 安心して、嬉しくて……少し涙がにじんでくる。


 ……じゃあ、じゃあ。

 私は陽さんと一緒にいることが――。


「そもそも、僕の好きな人は別にいるからね」

「――――え?」


 ――嬉しかったのに、安心していたのに。

 私の心はその言葉で地獄に叩き落された。

 

 

 ◆



「そんな」


 体から力が抜ける。

 べったりと、陽さんの膝に崩れ落ちた。


「……そんなぁ」


 じわりと目に涙がにじむ。

 そんなのって無いよ。酷いよ。


 初めて陽さんのことを恨みそうになる。

 私はこんなにあなたのことが好きなのに。それなのに。


「いや待って、ごめん、言い方が悪かった

 ――僕が好きなのは君だよ」

「………………え?」


 ……??

 よく理解できない言葉が聞こえた気がして頭を上げる。


 視線を向けると、陽さんが慌てた顔でこちらを見ていた。


「もったいぶるのは職業病かな。ごめん、誤解させて。僕が好きなのは緑、君だよ」

「……?」


 好き? 陽さんが?

 誰を? ……私?


 ……?????


「う、うそ」


 思わず声が出た。

 そ、そんなことが……本当に?


 さっき一度手酷く落とされたので、もう何も信じられない気持ちになっている。

 実はまた私をぬか喜びさせる気だったりしない?


「嘘じゃない。僕が好きなのは君だ」

「で、でも。私なんて、そんな好かれるような人間じゃ……」

 

 だって私はダメな人間だし。

 陽さんみたいに優秀な人間じゃない。


「私は陽さんみたいに立派な人間じゃないし……」

「いやいや、僕こそそんなに褒められるような人間じゃないよ」


 そもそも、と陽さんが言う。


「立派な大人なら、まだ高校生の女の子に告白はしないからね」

「……」


 ……いや、まあ、それは確かに問題かもしれないけど。


「緑のことを好きになったのはね、一緒にいて居心地が良かったからかな」


 君に彼女の話をするのもどうかと思うけど、と、そう言って話し始めたのは、例の婚約者との失敗談だった。


「僕、仕事中は話しかけないで欲しいんだよね。あと仕事がない時にゲームしてるのを咎められたくない。……その辺を彼女にはわかってもらえなくて」


 例の婚約者は、仕事中でも話しかけてきたり、仕事が終わったら遊びに連れて行けとうるさかったらしい。

 そして、そういうのがどうしても耐えられなかった、と。


「……私、陽さんがゲームしてるの邪魔してません?」

「仕事が終わってないときは、むしろ邪魔して欲しいんだよ……それに君は仕事に戻れとうるさく言う訳じゃなくて、じっとこっちを見つめてるだけだから」


 よく分からないけど、理想の邪魔され方があるらしい。


「君との生活はとても居心地が良かったんだ。生活のリズムが合ってるというか」

「……」

「本当は君が卒業してから告白しようと思ってたんだけど……」


 でももう言ってしまったから、と、陽さんの目がこちらを見る。

 陽さんの優しい目が私の目を見ていた。


「緑、君のことが好きです。僕と付き合ってくれませんか」

「……」


 その言葉を聞き、一度目を閉じる。


 ……最初はよく理解できなかったけど、段々実感がわいてきた。

 

 私は今、陽さんに告白されている。


 彼は私のことを好きだと言ってくれて、私と一緒にいると居心地がいいと言ってくれた。

 前々から告白しようと思っていた、とも。


 つまり、今頷いたら彼の恋人になれるということだ。


「……私で、いいんですか?」

「君がいいんだ」


 確認すると、すぐに肯定してくれるのが嬉しい。

 

 段々と喜びが湧き上がってくる。

 私は今、何よりも願っていたことが叶いそうになっている。


「……私は」


 あの日からずっと、陽さんのことが好きで。一緒にいたいと思っていて。

 この人の恋人になれたらどれくらい嬉しいだろうなあって。いつもそう思っていた。


 ――だから。

 

「私も、あなたが好きです。あなたの恋人になりたいです」


 そう、返事をした。

 

 そして、彼に抱き着く。

 陽さんも私の体に手を回し、抱きしめてくれた。


「……………………うぅ」


 嬉しくて、涙が滲む。

 そんな顔を見られてくなくて、彼の胸に顔を押し付けた。


「……うぅぅ……」


 ……陽さんはそんな私の頭を抱きしめてくれて。

 私が泣き止むまで、頭を撫で続けてくれた。


 そして――

 

 ――こうして、私と陽さんは恋人同士になった。



 

 =======================



 

 そういえば、と一つ思い出したことがあった。

 小さいころ、お兄さんに絵を見せてもらったことがある。


 お兄さんの周りをうろちょろしていたら、お兄さんのバックからノートが落ちて、それを見たのが切っ掛けだった。


 当時の私はお兄さんのことを優しくて絵も上手い凄い人だと思っていて――。



 

 =======================

 



 それから少しの時間が過ぎた。

 私と彼はこれまでと同じ生活を続けている。


「緑、ちょっといい?」

「なんですか?」

 

 あの日私たちは、恋人になった。

 

 でも、それで私たちの生活が変わったかと言うと……実はそうでもない。

 元々一緒に暮らしていたわけで。それほど変わる余地もないからだ。


 いや、正確に言うと一つあるけれど……それは卒業してからになった。

 だから、基本的にはそれまでのまま。私たちは穏やかな生活を続けている。


「原稿が出来たんだけど、読んでもらっていい?」

「あ、はい!」


 一緒に暮らして、食事をして。

 偶にゲームをしている彼を後ろから見て、部屋にコーヒーを持って行って……出来上がった原稿を読ませてもらう。


 そんな生活が私は好きで、彼もそうだったらいいな……なんて、そう思う。


「……」

「……」


 しばらく読んで、顔を上げる。

 彼は相変わらず少し不安そうな顔をしていた。


「……どうだった?」

「面白かったです」

「……よかった。第一の読者にそう言ってもらえると僕も嬉しいよ」


 第一の読者? 少し仰々しい言い方に疑問はあったけど、彼が喜んでくれるならなんでもいいと思う。

 胸をなでおろして笑う彼に、原稿の束を手渡した。


「――」


 ――と、ふと風が吹く


 あ、と思って、咄嗟に手渡したばかりの漫画に飛びついた。

 もし飛ばされたら大変なことになる。


「――だめっ」


 慌てて伸ばした手は紙に触れ――


 ――そして触れた紙ごと大きなものに包み込まれた。

 

 背中に回った暖かいものが、ぐっと私の体を抱きしめる。

 顔を上げると、すぐ近くで陽さんが私の顔を見ていた。


「……」


 思わず、見つめ合い……しばらくして手元を見る。

 確認すると、漫画は一ページも飛んでなかった。


 束はちゃんと彼と私の両方の手で掴んでいて、がっちりと固定されている。


「……ふふ」

「……はは」


 なんだか可笑しくなってきて笑った。

 彼もすぐ近くで笑っている。


 なんとなく、彼に体を擦り付ける。

 すると彼も私を抱きしめてくれて。


 暖かくて、心地よくて。

 

 ――そんな私は、ただただ幸せだった。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] いつもいつもお世話になっております。
[良い点] 性転換系TS短編の最高峰をみた ┏○)) アザ━━━━━━━━ス!
[良い点] 全てにおいて可愛い 応援したい。てかする。 可愛い(( [一言] TSに目覚めました。
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