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交戦

 目の前に降着したヴラグの主力兵器ソルジャー。

 奴が頭部のセンサーらしき物をこちらに向ける。ディスプレイ越しに目が合ったような気がした。

 あ、やばい・・・

「・・・うわぁぁあぁ!!ま、マジか!ロックオン!」

 弾かれたように叫び声を上げ、ソルジャーがディスプレイ上で赤枠に囲まれると俺は無我夢中で右手のトリガーを引いた。

 しかし、速射砲に装填された四〇ミリ砲弾は発射されない。

「え!?おい!」

 俺は焦ってトリガーを滅茶苦茶に引いた。

 ソルジャーはライフルをこちらに向けている。

「安全装置が掛かっています。」

「安全解除!安全解除!!」

 淡々と話すAIにトリガーを引きながら叫ぶ。

 すると、トリガーと連動し四〇ミリ砲弾が連続で発射され、ソルジャーを一気にノックアウトした。

「緊急回避。」

 AIの警告とともに機体が前転し、世界が大きく回る。そして、視界が元の位置に戻った時、前方には別のソルジャーがライフルをこちらに向けていた。

「うを!?くたばれ!!」

 驚いたが、咄嗟にトリガーを引いた。

「残弾無し。」

「は?」

 AIの無慈悲な言葉に耳を疑う。

 その間にもソルジャーはライフルのスパイクを出してこちらに突進してきている。

「うわぁぁぁぁ!!来るなぁぁぁ!!」

 絶叫しながら空になった速射砲をソルジャーに投げつけた。

 幸運なことに速射砲はソルジャーの頭部にクリーンヒットし、そのまま後ろにひっくり返る。

「瞬!瞬!!落ち着け!!」

「親父!?」

 叫ぶように呼びかける親父の声に、俺はかろうじてパニック状態を脱する。

「落ち着け。近接戦用の短剣を使え。敵が復帰する。急げ!」

「短剣装備!奴にトドメを刺せ!」

 親父の声に背中を押され、俺はAIに指示を出した。

「了解。」

 返答とともに機体は自動で腰に装着された短剣を装備し、立ち上がろうとするソルジャーに飛び掛かる。

 そして、マウントポジションを取ると俺の手で短剣をソルジャーの弱点である頭部に振り下ろした。

 そして、俺は操作モードを手動に切り替えると無我夢中でソルジャーの頭をメッタ刺しにした。

 気がつくとソルジャーは動かなくなっており、頭部も既に原型がなくなっていた。

 俺は攻撃を止め、ぼんやりと残骸と化したソルジャーを見つめた。

 喉が渇き、体も重く、何も考えられない。これを疲労困憊と言うのだろう。

 親父と那須が頻りに何かを訴えているが全く頭に入ってこない。

「緊急回避。」

 AIによる警告とともに視界が後ろに一回転し機体が立ち上がると、着剣状態のライフルをこちらに向けた別のソルジャーが真正面から突っ走ってくる。

 しかし、身体が動かない。

 ああ・・・死ぬ・・・

 ぼんやりとそんな認識をする。

 その時、眼前まで迫っていたソルジャーが斜め後ろに弾き飛ばされ、背中から着地した。

「新型のオペレーター、大丈夫?」

 俺の安否を気遣う女性の声が響く。

 同時に深緑色のガッシリとしたシルエットの機甲歩兵が二体、速射砲を構えた状態で追い越して行く。

 国防軍の二五式機甲歩兵だ。

「なんとか・・・」

 やっとの思いでそう答えていると、片方の二五式が立ち上がろうとするソルジャーに近づき、短剣でトドメを刺した。

「よかった。警備隊長、新型はオペレーターとともに無事です。」

「わかった。当該区域の安全は確認された。トレーラーを向かわせる。・・・朝倉、もう一仕事頼む。」

「えあ!?・・・は、はい。」

 不意に話を振られドキッとする。

「トレーラーが来るまでハッチを開けて換気をしろ。」

 那須はフッと笑いそう言った。

 その後、二五式の護衛を受けながらADX-02の積載を完了し、俺のとてつもない一日が終わった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 敵陣営であるヴラグのイメージが明らかになり、大変興味深く読ませて頂きました。 主力兵器であるソルジャーの機動兵器的なフォルムや輸送機の存在から、「機動戦士ガンダムAGE」のヴェイガンや「機…
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