表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

機甲歩兵

 俺は朝倉瞬あさくら しゅん。いたって普通の十六歳だ。

 今現在、俺は軍の保有する連絡用の乗用車の後部座席に乗っている。

 向かう先は地元から大分離れた場所にある国防陸軍新高駐屯地。

 なぜ平凡な高校生である俺がそんな場所に向かっているか・・・それは三日前に駐屯地の最高責任者を務める親父から見学に来ないかと誘いがあったからだ。

 しかし、今日は少し妙だ。見学自体は今まで何度もさせてもらったが、通常なら移動は親父の車か公共交通機関である。それにここ最近、ヴラグとの戦闘が激化しているというニュースも耳にした。後方職種とはいえ親父も相当忙しいはず・・・

 ヴラグとは、ある日突然世界各地に出現し、人類に対して戦争を仕掛けた謎の敵だ。ヴラグとの戦いは一進一退のままもう五十年も続いている。

「おお、瞬。よく来た。」

 司令室に入ると待っていた親父は力強い笑顔で俺を出迎えた。

「お邪魔します。・・・なあ親父、送迎に軍の車を使って大丈夫なの?」

 親父に促され入り口わきの応接セットに腰を下ろしながら聞く。

「ああ、それなら問題ない。・・・早速で悪いんだが、これにサインしてくれ。」

 そう言って親父は一枚の書類をテーブルに置いた。

 そこには形式ばった文章がズラズラと並んでいるが要約すると、この施設で見たこと聞いたことは絶対に外部に漏らさないことを誓います。というようなことが書かれている。

「一体何見せる気?」

 書類を片手に俺は怪訝な顔で親父を見た。

「新型の機甲歩兵だ。ちょっと事情があってな・・・今日は特別に操縦させてやる。」

「マジ!?」

 とんでもないサプライズに俺は驚き目を輝かせた。

 因みに機甲歩兵とはヴラグへの対抗手段として開発された人型兵器だ。つまり、男の子なら誰もが憧れる搭乗可能なロボットである。

 誓約書にサインをした俺は司令官専用のセダンに親父とともに乗り込み、広大な施設の奥に建つ大型格納庫に移動した。

 移動間になぜ俺のような民間人が新型機甲歩兵の操縦をさせてもらえるのかを聞いたところ、答えは非常に間抜けなものであった。

 その答えとは、搭乗員の認証システムの問題だ。この一言で済ませば聞こえは良いのだが、実態はテスト段階で何を思ったのか認証システムに俺の情報を登録した上、何らかの理由で書き換えが出来なくなってしまったらしい。

 そして、認証システムの書き換えも含めた調整を別施設で行うため、移動用トレーラーにその機甲歩兵を載せて欲しいとのことだ。

「おお・・・すげぇ・・・」

 薄暗い格納庫に一歩足を踏み入れた俺は声を漏らした。

 目の前には身長約十メートルの機械で出来た細身の白い巨人が立っており、その周辺では作業着に身を包んだ整備員達が黙々と作業をしている。

「我が軍が開発した新型機甲歩兵、ADX-02だ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 男系親族の手で巨大ロボットが主人公に託される展開は、巨大ロボット物の王道ですね。 また、「機甲歩兵」という巨大ロボットの総称も、「装甲騎兵ボトムズ」や「特装騎兵ドルバック」といった80年代…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ