表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

第二話 「フリーズする、彼女」

今日も大学のカーリングサークルでカーリング場へとやって来た俺達。

「今日もテイクアウトが冴えるぜ」

ハウスの中に入ったストーンは全部弾き出す。

カーリングはパワーだ。

というのが俺の信条。

だが。

それを理解してくれるパートナーがいない。

今年こそはMD(ミックスダブルス)の大会にエントリーしたいのに。


しかし、毎度毎度、俺が弾き出した後、俺の投げたストーン(シューター)に必ずぴったりと付けてくる(フリーズしてくる)ヤツがいる。

雨宮(あまみや)、お前ホント、フリーズ上手いよな」

「えっ!?そんな事ないよ!?でもなんでだろ?古宿(ふるやど)クンのストーンに惹き寄せられてるみたい。古宿(ふるやど)クンって不思議だね」

いや、雨宮(あまみや)、お前の方がよほど不思議だけどな。

でもこれだけ毎回毎回ぴったりくっつけられると。

変に誤解をしてしまいそうだ。

雨宮(あまみや)は俺より背が高くて。

髪はさらさらで。

目はくりくりして大きくて。

美人、というよりカワイイという言葉が似合う。

それでも何故か浮いた噂が一つもない。

しかも身体つきが俺好みで。

出るトコ出ていて…。

いかん、いかん。

カーリングに不純な気持ちを持ち込むな。

「私は良いケドね」

…?

雨宮(あまみや)が何か呟いた気がする。


カーリング練習が終わって帰り道。

辺りはすっかり暗くなっていた。

雨宮(あまみや)、送ってくよ」

「あ、うん。ありがとう」

これは。

満更でもない様子。

「あ…あの。古宿(ふるやど)クン。これ、ちょっと早いケド、誕生日プレゼント」

「え!?オレ、雨宮(あまみや)に誕生日教えたっけ?」

「あ、えっと。友達に聞いたの」

「開けていいか?」

雨宮(あまみや)がこくん、と頷く。

中身は…。

え…。

所謂(いわゆる)AV(アダルトビデオ)のDVD。

しかも最近オレが好きな女優の…。

「な、な、な、雨宮(あまみや)どゆこと?」 

「あ、うん。だって最近古宿(ふるやど)クン、その人のコト、気に入ってるみたいだったから」

いやいやいや。

友達にだってAVの趣味(そんな事)なんて教えないぞ!?

「な、な、なんでそんな事知ってるの?」


「あ、だってね。古宿(ふるやど)クンのgeegel(ゲーゲル)検索その人ばっかじゃない?あ、ごめんね。前にホラ、好きなバイクの話聞いて、その型式がgeegel(ゲーゲル)アカウントの暗証番号かなって思ったら当たってて。メルアドは知ってるし?あ、もちろん私が古宿(ふるやど)クンのアカウントでログインした後は古宿(ふるやど)クンのスマートフォンに通知行っちゃうからそれも消していて。あ、ほら。スマートフォン机に置いたまま授業中寝るの止めた方がいいよ?あ、あと、スマートフォンの暗証番号もgeegel(ゲーゲル)と同じなのも不用心。あ、でも、私ね。古宿(ふるやど)クンが今は私以外の女性で処理しててもいいんだ。いずれ、私で処理してあげるから。あ、私違うよ?私、怖いヒトじゃなくて」


…もちろん充分に怖い。


だが、ふと思う。

これだけ俺の事を知っている雨宮(あまみや)なら…と。

「なあ、雨宮(あまみや)、俺とMD(ミックスダブルス)のペア、組まないか?」

すると雨宮(あまみや)は…。


何故か泣き出していた。


いや、何故泣く!?


「嬉しい…ありがとう。ふつつかモノですが、末永くお願いします」


いや、違う。

なんだか凄く違う。


翌週。

雨宮(あまみや)は、MD(ミックスダブルス)の申込み用紙と…婚姻届を持ってきた。


……。

うん。

どっちもサインはしても良いけど。

婚姻届は大学卒業して、就職して。

それから二人で出しに行こうな?








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ