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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
77/139

077.素直じゃない

ブックマーク80件over!数人見て頂けた時も感激しましたが、ますます嬉しく思います^^


バックヤードからはアンが先に出てきた。


「おう、乾いたか?」

ウィルは魔法ならすぐだろうとは思いつつ、一応聞いてみた。


「はい、全て乾いたとの事でした!


あと、外壁や虹の原因を精霊様達にも聞いてみました。先程下級層の街に降りた際、少し水の精霊様に関わったんですが、その時のお礼のつもりだったとの事でした。


ご迷惑をおかけしてすみませんでした。」


アンが苦笑い気味に事情を説明してくれた。




セトがバックヤードから戻ったのはそれから少ししてからだった。全身渇いてはいたが、若干顔が赤いし何やら悶々と悩んでいるような雰囲気を醸し出していた。


服を乾かしていただけにしては、不審すぎる挙動に、まさか!とウィルがセトに駆け寄る。



「お前!!!アンに手ぇ出したのか!?

いや、お前なら...そんなわけねぇよな!?


...そうか!!うまくいったのか!?」


ウィルはセトの首に腕を回すと、ヒソヒソとアンに聞こえないように尋ねる。


ウィルは全く興味のない常連客の女に、一度バックヤードの暗がりに入り込まれて痛い目をみた事があった。そのため2人のことが心配になったのだ。




「んなっ!?何を言ってんすか!服を乾かしてもらっていただけに決まってます!!」


セトが馬鹿な事を言うなとウィルの鳩尾に軽めの拳を入れる。


「いてっ!なんだよ...驚かせんなよな...。


まあ言っとくが、アンはグレイソン団長にも気に入られているし、ファンも多い。運命感じちまって、頑張りてぇなら早い方がいいぜ!」


ウィルはバシッと肩を叩くと去って行った。


「だっっっから!!何の話してんすか!?俺は剣に人生を捧げてるんすよ!?」


セトは顔を真っ赤にしながら、全力で否定した。だが、その脳裏にはアンの髪の微かな柔らかい感触と、香りがよぎり、動揺してしまった。




「はぁ...。」

セトはため息を吐くと、気合を入れるように両頬をパンッと叩きアンの方に向き合った。




「すんません!乾かして頂いてありがとうございました。今日の要件は次回の騎士団からの紅茶の発注についてです。複雑な内容もあるため、直接こちらに伺いました。」


セトはガバッと頭を下げてお礼をする。


「いえ!こちらこそお待たせしてしまった挙句にすみませんでした。わざわざありがとうございます。」


セトはやっと通常モードに戻ると、アンと発注数などについて話をつけた。



....



要件も済んだ、こんな事で心乱すようでは団長として鍛錬が足りていない。帰ったら朝練に演習場10周を追加しよう、と決意して店を出た。


セトは無意識にため息をついた。




「もしかして...好きになっちゃった?」




テディが窓枠にもたれかかりながら、ニヤッと笑ってセトに声をかけた。




「んなっ...!?な...にを!?」

セトは慌ててテディの方を振り向く。




"ア・ン"

テディは声に出さず、口の形だけで示す。




「〜〜〜っ!?あ、アン殿は我々騎士団にとって御守りすべき対象です!!し、失礼します!!!」

セトは全力で否定して走り去って行った。



「こっちの騎士様はノワールの弟くんに比べて全然素直じゃないね。フフッ!」


テディはセトの後ろ姿にヒラヒラと手を振った。

引き続き、評価★★★★★ブックマークにて激励よろしくお願いします!



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