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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
75/139

075.そして帰路に着く


想定外の事もあったがノエルとノラに聞かせることのできない話は終わったので、3人には部屋に戻ってきてもらった。


今更だがノワールから本題の絵を受け取り、テディは中身を確認した。今回は対面での納品なので、その場で少し手直しをしてもらう。


アンはその間に薬代わりの紅茶を作る。チャプのお願いもあって、白タヌキが渋々少し毛をカットさせてくれる事になった。


ノワールが申し訳なさそうにカットされた白タヌキの背を撫ぜる。


「んにゃあ〜」


「別にノワールは悪くないって言ってる〜」

「チャプのお願いだから〜」

「ノワールは気にしなくていいの〜」


フウ達曰く、白タヌキの毛を混ぜる事で効能はグッと上がるらしい。身体欠損にも近いあまりに酷い状態のため、魔法でも治療に2ヶ月ほどかかる予定だったのが、1ヶ月以内にはできるのではないかとのことだった。


アンは前世の事を考えれば、2ヶ月でも奇跡のようだと思っていた。


1ヶ月も毛をカットされるのかと、白タヌキはゲンナリしている。精霊達の縦社会は案外厳しいものであるため、最高位精霊のチャプのお願いは無視できなかったのだろう。精霊達が面白がって尻尾やヒゲを切ろうとしたが、おしり付近の目立たない毛という条件は曲げなかった。そのやりとりに幾分疲れたようだった。


「白タヌちゃん、ごめんねありがとう...。あなたのおかげでノワールはあと1ヶ月もすれば歩けるようになるわ。本当にありがとう。」


アンが白タヌキをぎゅっと抱きしめ、頭から背中を何度も撫でる。白タヌキは鼻からフスーッと大きく息を吐くと、ムスッと丸まった。


「アン、こっちは終わったよ。そろそろ店に戻れるかい?」

テディが声をかける。


「えぇ、私の方も1週間分は作れたからもう帰れるわ。


ノワール、1日分ずつ袋に入れておいたから、これを毎日飲んでね。忘れずに必ずよ!また1週間後に来るわね。」

アンは白タヌキを抱えて立ち上がった。


「姉ちゃん、帰っちゃうのかよ!次は俺...俺がもう少し大人になったら姉ちゃんに会いに行くよ!」

ノエルがアンのスカートの裾を掴んで恥ずかしそうに、しかししっかりと目を見て言い切った。


「フフッ、ノエルありがとう。楽しみにしているわ。」

アンは屈んでそっとノエルの頭を撫でた。


「アン、僕も後で御礼するね!」

チャプは元気にそう言うと周りの雨雲を引き連れてパッと消えてしまった。







その時ノエルの様子を見ていたノラが

「男って馬鹿よね。」

と小さく呟いた。



「仰る通りです...。」

と、テディもノワールも大人びたノラの言葉に敬語で同意してしまうのだった。

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