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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
67/139

067.花柄


...



ノワールを雇い、2日後の昼下がり。


ノワールからは完成した絵とともに、『お腹いっぱい家族にご飯を食べさせ、近所の子どもにまで配ることができた』とメッセージが届いた。アンは嬉しくなりテディにもそれらを見せると、テディは「上出来ですね。」と笑って注文分の絵を受け取った。


テディは早速それを真っ白なシャツに魔道具を使って複写しはじめた。アンはそれを後ろから見守る。


「うん、これは...!間違いなくノワール達も毎日お腹いっぱいご飯が食べられますね。」


テディはニコッと笑った。アンはその言葉に益々嬉しくなり、テディが店のフロント部分に洋服を飾る様子に見入った。


なんて素敵なシャツなんだろう。ノワールの優しさがあらわれているそのシャツは、様々な花々が描かれていた。


「美しいわ...。」

美しいシャツが飾られたことに気が付いたクロエが近付いてきて感嘆の溜息を吐いた。


「これはね、クロエの花屋をイメージして描いてもらったものなんだ。」

テディがふんわりと柔らかな笑顔で説明してくれた。


「あぁ、だからこんなにも魅力的で美しいのだな。」

サラリと言ってのけたのは、ちょうど店に入ってきたヘンリーだった。


途端にクロエがボボボッと薔薇のような赤に染まる。


「君そのもののような美しさだ。これは、私が購入する事も可能なのか?」

ヘンリーがグイグイとテディに迫った。


「へ???あ、ヘンリー様...構いませんが、女性用でも宜しいのですか?」

テディが珍しく焦った様子で確認する。


「だからこそ買いたいのだ。国1番の美しさであるクロエにこそ、そのシャツを着てもらいたいのだ。」

ゴゴゴゴゴ...と地鳴りの音でも聞こえそうな覇気でヘンリーは購入を希望する。


「ももももちろんです!どうぞ!クロエの友人価格でお売りします!」

テディは展示したばかりのシャツをサッととると、ヘンリーに渡しお代を受け取った。


そして、ヘンリーはすぐさまそのシャツを、未だに真っ赤になったまま放心するクロエに羽織らせた。


「やはり美しい...。」

ヘンリーはボソッと呟くと、クロエの耳元に顔を近付けてヒソヒソと言葉を紡いだ。



「ーーーーーーーーーー?」


その言葉に、クロエの赤さが耳まで達し、両手で顔を覆い隠しながら、コクコクと頷いていた。



げんなりするテディの横で、アンは

(もうお腹いっぱいです、ご馳走様です。)

と頬を緩めていた。

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