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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
43/139

043.それから




「「えーーー!!!」」




翌日、テディとアンの声が同時に、白亜の本屋に響き渡る。客がいる時間ではないため問題はないのだが、気持ち的にクロエは慌てて2人の口を覆う。


「じゃあ何!?クロエさんヘンリーおじさんと上手くいったの!?」


「なんだよ〜心配してたのに...!どうなってるの!?」


事の顛末を聞いたアンとテディは、ヒソヒソ声にしつつも驚きを全然隠せていない。


「ちがうの!上手くいったっていうか...今度食事に行くことになっただけよ!」




「「それを上手くいったと言う!!!」」

アンとテディの声が揃う。




クロエは恥ずかしさにピンクにほのかに染まった頬を両手で押さえながら俯いて話す。




「この間買って行った花...本人から買ってすぐに渡したらおかしいと思って、わざわざ一旦持ち帰ったんですって。それで、私の仕事終わりに改めて渡しに来てくれたの。」


「「ふう〜ん...。まどろっこしいなあ。」」

2人ともニヤニヤしながら、本音がだだ漏れである。


「でもさ、おじさんクロエさんの仕事が終わるの待ってたんでしょ?なんですぐに行かなかったのよ。そしたら、怖い思いさせなくてよかったのに!全く!」


アンの指摘を受けて、テディも不思議そうな顔をした。




「あー、その点についてはね...」


と、クロエは恥ずかしそうに切り出し、アンとテディは身を乗り出して話を聞いた。


「昨日、ヘンリーさんが花を買って行った時...ヘンリーさんに恋人...少なくとも好きな女性がいるんだと思ったの。それで、店を出た後、悲しくなって涙も拭かずに歩いてたの...


そしたら、ヘンリーさんがそれを見てたみたいで。」


アンとテディは大きく、うんうんと頷きながら聞く。


「ヘンリーさんは、そんな私を見て食事に誘おうと思っていた言葉も何もかも吹っ飛んで...」


「「それでそれで!?」」


「それで、なんて声をかけたらいいのか分からなくなって、むしろ今日は引き返すべきかとかなり後ろを歩いていたみたい。」


「「ヘンリーおじさああああん!」」

テディまでおじさん呼びになっている。


「その後は、2人に話した通りよ。」



「...なるほどね〜。おじさんったら、ストレートなんだか周りくどいんだか分かんないわね。」


「でも素敵なお話だよね〜!昨日の男には殺意しかないけどね〜」

テディがいつもの可愛らしい笑顔で、恐ろしい単語を吐いた。



それからのクロエは、これまで以上に他の男には興味がないアピールをするようになった。そして、ヘンリーへの想いを公言することになり、花屋の売り上げは一時的にガクッと落ち込む。それでもクロエはとても幸せそうだった。



...だが、店の売り上げはあっという間にV字回復していくのだった。


『想いが叶う赤い花』の噂が広まり、茎を落とした赤い花をそのまま女性に贈るのがこの国における告白やプロポーズとして広まっていくのはもう少し後の話だ。



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