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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
37/139

037.2つ目と3つ目の用件


その後、アンは再びヘンリーの後に続き、別の来賓用の部屋へと移動した。


「お腹が痛くなるような頼まれごとをされたように聞こえたんだけど、おじさん...!!」


メイドや警備兵の手前、風魔法で音の遮断をした上で2人は話し始めた。


「アン、我々の守護精霊はそれぞれ火と風の最高位精霊だぞ。頼まない国王がいたら、それこそおかしいだろう。国王は代々精霊達との契約の下、会話はできても魔力がないから魔法は使えない。」


「ははーん、なるほど!ってならないわよ!それだけの説明じゃ。」


うーむ、と悩んだようにヘンリーは顎に手をやる。ヘンリーは、自分の知識量と頭の回転が、世間的平均とズレているため、噛み砕いて話すのには逆に時間がかかるタイプの人間だ。


「要するに、我々...いや、最高位精霊次第では国は良くも悪くもなるのだ。風の最高位精霊は魔力量の多い者と組めば天候だって操作できると言われている。あくまで古い文献レベルの話だが。


まあ、今すぐアンに何か関係するわけではない。ゆっくりとその力を理解すれば良い。今はただ、力の使い方を誤らないようにしなければならない。」


アンは、そんな重荷を背負わされたって自分はただの魔法使い(見習い)であり紅茶屋(見習い)でしかない。なんだか話が壮大すぎて自分の足下がフワフワしてきた気がした。


今すぐアンに何か関係するわけではない、ということだけが救いだった。



ヘンリーは話を続ける。

「本来であれば、私同様王宮に住んでもらいたいところだが...それだけ首を横に振っているのだ、そのままの生活が良いのだろう。


まあ、下手に誰かが手出ししようものなら守護精霊が黙ってはいない。あえて人間の護衛など不要だろう。」


アンは王宮に住むなんてまっぴらごめんだと、手で×マークを作りながら全力で首を振っていた。


「それで、国王陛下の事はともかく、すでに君は王国にとって貴重な人材であるグレイソンを救っている。それに関しては、この王宮を代表して礼を言う。


欠損や臓器の損傷も治せる治癒魔法はができるということは、過去の魔法使いと比べても魔力量が圧倒的に違う。


現状、魔物や隣国の不穏な動きが活性化しており、騎士の数も危ぶまれる情勢だ。国の重要案件に巻き込まれる可能性がある事は覚悟してほしい。」


アンは心の中で「いやです。」と全力の返事をした。アンは声に出していないが、ヘンリーの眉がピクッと動き、どうやら察したようだった。だが、構わず続ける。




「それから、用件の3つ目。




あの魔法の組み立て方をぜひとも私にも教えてほしい...。風と水の2属性を混ぜるなど、大変興味深い。」


ヘンリーは真顔で言っていたが、ただの個人的興味であったことに、アンは肩透かしをくらった気分だった。




...




アンが風魔法と水魔法で作ったお片付けシステムについて説明すると、ヘンリーはなるほどと納得していた。


この世界での魔法は、詳細なイメージができるかどうかが肝になる。それは、機械のロジックを考える時と似ているのだ。


細分化してパーツ毎に構築してから、それぞれを結合し、全体として動かせるようにしていく。それをトライ&エラーの形で繰り返しテストして完成に近付けていく。プログラミングのように全てを正しく言語として書いたりする必要はないが、正しい機能・動作のイメージがなければいけない。


だが、この国ではハンパに魔法が存在しているため、機械仕掛けについては未発達の部分も多い。そのため、そういった考え方が浸透していないので、魔法だからといって一朝一夕で何でもできるというわけではない。


また、逆に風の精霊が天候操作や治癒魔法を得意とするように、精霊が細かなイメージを持っているものは、魔法使いの魔力さえ足りてしまえばできてしまう。



「アン、感謝する。私が長年実現できずに困っていた物たちが完成しそうだ。」


ヘンリーはニヤニヤと悪い顔をしながら、アンにお礼を述べた。ヘンリー自身は良い人だと思ってはいるが、実現したいことがどうかくだらないことでありますようにと、アンは願う。



そうして、ようやく拘束を解かれたアンはヘンリーの用意した馬車に乗り、一度白亜の本屋に帰ってきた。



ヘンリーの"実現したい事"がアンの顔が引き攣るレベルのものであると言う事は、まだアンは知らない。



今までで一番悩みました...。

更新が遅くなりすみません、1000ユーザーもの方に見ていただく事ができ、感謝しております!


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