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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
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023.魔道具師との出会い


アンは店に入ってきた男が魔道具店の店主なのだろうと思った。男は帰ってきて早々にウィルに駆け寄り、何やら興奮して涙したり、ガッカリして床に手を付いたり... かと思うと、喜びの舞を舞ったりしていた。


普通なら、異様なテンションのヤバいタイプの人だと思うだろう。ただ、今日はアンもキャパオーバー気味で呆然と眺めていた。


「フフッあの人はね、魔道具店の店長さん。たしかウィルさんと同じ歳くらいだったはずよ。ちなみにあれでも既婚者よ。アン、気をつけてね。」

クロエはいつの間にか妖艶な空気を漂わせながら、アンの後ろから声をかけた。


「ありがとうございます、気をつけるって...?」


アンが何にだ、と思った瞬間に男がサッと近づいて来た。


「貴方様は、かのポートマンご夫妻のお孫様でいらっしゃいましたかぁあああああ!お困りの事がございましたら、私めになんなりとお申し付けください!あぁ、尊きポートマン様の血筋ぃいいい!あぁ、尊きポートマン様の香りぃいいい!!!」


アンは、

「コレ(ポートマン崇拝)か。」

と思った。


男がアンの匂いを嗅ごうと更にスンスンとし始めた時、ウィルのチョップが男の頭頂部にヒットする。


「いっっっっったっ........!!!」


「やめろやめろ、ジャスパー!オレはポートマンご夫妻からアンをよろしくと言われてるんだ。勘弁してくれ。」

ウィルが全力で抱え込み、制止した。


「よろしくと...?ご夫妻に...?あぁああああああああ!憎い憎い憎いですねぇええええ!!!こんな時に現れたS級魔物が憎いぃいいいいい!!!」

ジャスパーと呼ばれた男は発狂し始めた。


「ハッ!!」

軽い気合の声とヒュッという風を切る音が聞こえた。


クロエが見事なキレの回し蹴りで、強制停止させた。


...


「...ハッ!!」


ジャスパーが目を覚ました。が、ウィルとクロエによって椅子に括られており、身動きは取れない。


「ジャスパー、きちんと自己紹介しろ。そして、アンはここの店員として働くんだ。変なことしたら、出てっちまうぞ。もしくは、お前を追い出すからな。」

ウィルは大きめハンマーをジャスパーに突き付けた。


「うぐぐっ...?つまりポートマンの血筋の匂いをスンスンするチャンスは幾らでもあるだと...?コレはなんのご褒美だというのだ。だがしかし、やはりここにいなかったことが悔やまれる...。S級ランクの魔物素材に目が眩んだばかりに...!」


ジャスパーはどうやら素材集めのため魔物討伐に行っていたらしい。アンの祖父母はいつもスコットウォルズ村にいる。S級ランクの魔物の方が絶対に会える機会は少ないはずだ。と、アンは思う。


「ふぅ...アン様すみません、自己紹介をさせて下さい。そして解いてください。」

だいぶ落ち着いた口調でジャスパーは言った。


「様とかつけないでください。」

アンはまだ引き気味であるが、椅子に括られたジャスパーを解放した。


「では、ひとまずアンさん。改めまして、魔道具店を営んでおりますジャスパーです。ポートマン様の...筆頭ファンです!」

キリッとした顔で、キレッキレの動作で執事のようなお辞儀をしながらジャスパーは言い切った。


「なんだ筆頭ファンって。聞いたことねえぞ。」

ジョシュアが会話に混ざってきた。


「ジャスパーは頭こそおかしいが、魔道具師としてはこの国でも指折りの実力者だ。困ったことがあれば相談するといい。」

ウィルがフォローにならないフォローを入れる。


ジャスパーは、ポートマンのことになると発言はおかしいが、結構イケメンだった。


ストレートのサラサラとしたグレー系の短髪で、右側だけ刈り上げている。この国では珍しいスタイルだった。細身の長身で、カラダはとても引き締まっている。運動自体は嫌いだが、良質かつ珍しい魔物素材を入手するために、鍛えているらしい。


ただ、自分自身を魔道具の実験台にすることも多いらしく、左腕にはビッシリと文字や数式が書かれていた。怖すぎる。


「アンです。たしかにおじいちゃんおばあちゃんの孫ですが、私自身はすごいモノが作れる訳でもないので、普通にしてもらえるとありがたいです。私の方が年下ですし...!」

と、アンも心を落ち着けつつ自己紹介をする。


「承知しました!」


「まぁ...よし、ゴタゴタはあったが...まあ、ちょうどいい。皆一旦聞いてくれ。」

ウィルが店員たちを集める。


「アンをポートマン夫妻によろしく言われている。アンの生まれについて、詮索してきたり引き抜こうとする不届きな輩も出てくるだろう。


ま、そこは風の精霊様に誓って、アンが自ら出て行くまでは守り切っていこうぜ。」


皆が笑顔でうなずいてくれた。王都に来て、詐欺にも会い心細かったアンは、涙ぐみそうになる。


「!!!...わ、わたしは、雑用でも何でも、皆様のお役に立てるように頑張ります!」


アンはガバッとお辞儀をした。


ここからアンは、あっという間にこの店にとっても国にとっても欠かせない存在まで駆け上がっていくことになる。

はじめて投稿してから5日、少なくとも400人以上の方に見ていただいているようです...!(ガクブル) 3人見てくださってることに感動していたのが2日前...!


ブックマーク、高評価して頂けると、連載のやる気アップに繋がります!よろしくお願いします。


ここから、アンは王国の要となるまで駆け上がっていきます!

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