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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
139/139

139.効能

「それで、紅茶が原因と?」


「...はい、申し訳ございませんでした!!」

アンは必死に謝罪する


「Time lullaby キームンは私が子供の頃に悲しいことがあった時、祖母がよく飲ませてくれました。リラックス効果に加えて、今回は私のオリジナルで懐かしい子供の頃の素敵な思い出を想起させるくらいの付与を行ったんです。ヘンリーおじさんに、子ども心を思い出してもらうために。」


「なるほど。それが何故7歳の頃の精神年齢になったんだ?」


「それは、彼らが...」

アンはチラッと最高位精霊達を見やった。


「おもしろいとおもって〜」

「ヘンリーはいしあたまだから〜」

「たのしそうだった〜」


その回答を聞いたカゲが不機嫌にケッと言うと同時にケポッと小さな火が口から飛び出した。


ヘンリーはため息をつく。

「差し詰め、アンの魔法を強化して精神年齢までも巻き戻ったというところでしょう。アン、あなたは気にしないでください。


ですが、精霊様方は、アンを困らせ謝罪させたことをゆめゆめお忘れなきよう」


ニコッと笑いながら話しているが、目は一切笑っておらず、それを見たカゲは逃げ出した。


「アン、彼等には罰として3日間のオヤツ停止でお願いしますね。」


ヒィッと3人が息を呑む音が聞こえた。


「ひ、ひどい!」

「おに!」

「あくま!」


アンに助けを求める精霊達だったが、どうにもならない。お菓子のストックが切れている今、精霊達は魔法で増やす元となるお菓子もないので、アンに頼らざるを得ない。


「アン〜!」

「たすけて〜!」

「おやつ〜!」


3人はアンに擦り寄るが、アンはブンブンと顔を横に振るばかりだった。


「「「もうしませんから〜!」」」


こうして、最高位精霊より上の序列にヘンリーが位置することとなった。



「ぶにゃあ〜ん(アホらしい...)」

窓辺では白タヌキが大の字で寝転がっていた。




余程ショックだったのか、しくしくと3人の最高位精霊達は部屋から出て行った。



「おじさま、精霊様達のこととはいえ申し訳ありませんでした...。ちなみに、子ども心は思い出しましたか?」


「...子ども心は思い出した。だが、やはり私は子どもの頃から既に礼儀作法や補佐としての帝王学に関してみっちりと仕込まれていたために、アンの言うように正直に話せば協力するといった感覚にはなれない。上手くいくイメージが持てず十中八九私では交渉失敗するだろう。アンから話してもらうようお願いしてもよいだろうか。」


「荒療治は不要でしたね。適材適所と言いますし、そうしましょう。」


アンは苦笑いする。確かに7歳の少年ヘンリーは無邪気だったが、あくまでヘンリーの小さい頃でしかなかった。普通の子達とは話は合わないだろう。


「では、早速で悪いが、今週末の13:00に白亜の本屋で待ち合わせしよう。」


「はい。分かりました。」


ヘンリーは頷くと扉に手をかけ、鷹匠が鷹を腕にとめるときのように左腕をサッとあげた。



...何も起こらない。



「えぇと、おじさん、何を?」



アンは、鷹匠のような状態で少し恥ずかしそうに待っているヘンリーの顔をチラッと覗き見る。



「カゲを連れて行こうとしただけだ。」

ヘンリーはムスッとした顔で部屋の隅に尻尾に隠れて丸まっているカゲに視線をやった。



気恥ずかしさが残っているのか、珍しくカゲが動こうともしないので、ヘンリーがカゲを小脇に抱えて出て行った。




精霊達のご機嫌取りに苦慮するのは、アンだけではないようだ。

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