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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
134/139

134.混ぜるな注意

いつも読んでいただき、ありがとうございます!感想、評価楽しみにしています^^それが嬉しくて頑張れております!



先ほど、彼女を春の風と雪解けに例えたのは自分だったか。まさに、そのものだ。


そして、それは白タヌキの本来の名と同じであるとふと思い出す。


「主従は似るのだな...。」


グレイソンはふっと微笑む。アンの頬のあたたかさに、涙が出そうになるほどに心地よさを感じた。


アンは何のことかと首を傾げる。


その可愛らしさにグレイソンは愛しさが込み上げる。


「私、は...ただの人である前に、王族だ。私の過去を、囚われているしがらみの全てを知れば君は離れてしまう。」


男らしくない試すような自分自身の発言に、グレイソン自身、嫌気がさした。こんな事を言う必要などない。欲するままに、愛していると言えばいいだけだ。


だが、アンが一度生きる事を放棄した時から、より一層慎重になっていた。






「いいえ。」


アンは微笑んでハッキリとした声で言い放った。


「私も...母に教えてもらったんです。母にとって私は私であって、"魔法使い"という名の人間ではないと。魔法は私の、ほんの一部でしかないと。


こんな事を言うのは不敬かもしれませんが、団長さんも...いえ、グレイソン様も、王族でも団長でもなくグレイソン様という唯一人の人間です。肩書きも、その過去さえもあなたのほんの一部です。


私は、あなた自身の美しく気高い心が、好きなのです。」



アンはおっとりしているのに、何故だかこういう時は男らしいのだなと、グレイソンはハッとする。彼女は既に、その過去と重責を乗り越えたのだ。美しく気高い心を持っているのは、彼女自身のはずなのに。




彼女に相応しい男でありたいと思った。




そして、アンの後ろに座る神々しい白虎を見た。愉快そうにほくそ笑むその顔は、王族という肩書きなど白虎の前にはちっぽけな存在だと言いたいのだと分かった。また、何百年も生きている彼らからしたら、たった数十年の若輩者の過去など取るに足らない事だとも思えた。



「...すまない、くだらない事を言った。」



グレイソンはずっと胸に支えていた物が取れたように、スッと心が解れたのを感じた。重くのしかかったその肩書きと、過去からの呪縛がようやく解けたのだ。





「ありがとう...。」




グレイソンはアンと、そしてその後ろにいた白虎と丸ごと抱きしめた。









ーーーーーグレイソンの視界にふと時計が見えた。瞬時に水をかけられたかのように、頭が冷静になる。


「...っすまない!時間だ。これから、いくところがあるのだ!」


慌ててアンと白虎から離れると、団服の上着と長剣を持った。


「いってらっしゃいませ!」


アンは火照った顔がバレないように、サッと下を向いた。


白虎はまさかこんなにも良い雰囲気を作ってやったのに、この機会を再び逃すと言うのかと呆れて口をあんぐりと開けている。


「...っと!」


グレイソンは扉に向かって走り出す前に、上着と長剣を持ったままにアンを抱き寄せた。


「わわっ!?」


アンは再び抱き寄せられたことに驚き、躓きそうになった。


「アン、愛している。来てくれてありがとう、部屋の鍵はそのまま出て問題ない。ではまた!」


そう言ってグレイソンは、ほんの少し触れるか触れないかくらいに唇を重ね、慌ただしく部屋から出て行った。




「〜〜〜っ!!!事務連絡なの...!?何なんですか...!?」


アンは顔を真っ赤にしながら、少し頬を膨らませた。

評価★★★★★ブックマークよろしくお願いします!


ようやくグレイソンの想いが...!ここまで長かったですね(笑)

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