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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
130/139

130.団長は連れ去る

いつも読んで頂きありがとうございます!



グレイソンはブレイクが気持ちアンの前に立ちはだかったのを感じた。


ほんの僅かな足先の向きの変化だが、それはアンにいかなる男も近付けたくないという意思表示のように感じた。


「...ほう。」


グレイソンはニコニコとブレイクに笑顔を向ける。


「ええ。」


ブレイクもそれに対し、爽やかな笑顔を向ける。


「ところでアン、昨日も食事をありがとう。良かったら今度は我が屋敷で食事でもどうだ?」


グレイソンはさもブレイクが目に入らないかのように、アンをスマートに食事に誘う。


「えっ。」


これまではアンの家でばかりだったために、アンは嬉しくも少し驚く。


ところが、別な方向からも言葉を被せるようにブレイクがアンを誘った。


「お前さオレが今度実家帰る時に、護衛ついでに一緒に来いよ。アンは昔っからどんくさいところもあんだから、これからはオレが付いててやるよ。こないだ、誓いも立てたところだしな。」


ブレイクはサッとアンの手を取ると、指先に口付けを落とした。アンは顔が真っ赤になり、パニックになった。


その隙に、ブレイクは口の形だけでグレイソンに意思表示をする。


"オレの、です。"


グレイソンはピキッと顔をこわばらせた。


"受けて立とう。"


グレイソンも口の形だけで伝える。そして、その後は口に出して嫌味を言う。


「君も読唇術を学んでいるのだな。奇遇だな、色々と。」


「そうですね。その食事会には私もどうぞ同席しますよ?」


ブレイクはアンの手を持ったままに美しい笑顔を保っている。


「結構だ。ところで、アンに用事があるのだ。アン、少し来てもらえるか?」


グレイソンはサッとダンスを代わるようにアンの手を奪い取り、騎士団の自室へと向かった。こんなところで社交会の技が役に立つとは思いもしなかった。


大嫌いな社交会の思い出が蘇り、チッと心の内だけで舌打ちをする。







そして、後方ではそこにたまたま居合わせた侍女達、騎士までもがグレイソンとブレイクのやり取りに萌え苦しんでいた。




「わ、私見たことないわ!グレイソン様があんな笑顔、あんな怒ったような顔をするなんて...!あぁ、あの人に奪われたい...!」


「私も無理矢理に連れて行かれたい...!」


「やめなさいよ!王族の方に対し不敬よ!私はブレイク様も美しいと思うわ。」


侍女達はどちらかと言うとグレイソン推しが多いようだ。



「俺、団長もブレイクもどっちでも大丈夫かもしれない...。遠征帰りにあの色気は男でもやべえなあ。」


「俺ブレイクの目線に、恋しそうになったぞ...。俺にはダイアナがいるってのに...。」


「ちょっ!!いつのまにお前恋人ができてたんだ!裏切り者!」


「ああ、魔法使い殿のあの服装、うなじ、たまらないなあ。訓練ずっと続けてくれねえかなあ。」


騎士達は思い思いの感想を述べていた。




...





グレイソンは途中、元々の目的だった遠征組の労いをしながら歩いたために、着くまでには30分近くかかってしまった。


その間ずっとアンを連れ回してしまった事を申し訳なく思うと共に、部屋に着いた途端、変な汗が止まらない。



何故なら



「あの、団長さん。ご用って...?」



用など無いからだ。


そして、今更気が付いたのだが、いつもと違ってアンの服装は身体のラインが露わになる巷で流行りの服だった。腰や脇腹がチラリと見える丈感のTシャツに、ガウチョパンツ。パンツが太めなために、ウエストの細さがきっちり強調される。しかも、その腰部分の肌がみえているからなお目のやり場に困る。


そして、髪を一つに結いあげて、綺麗な首筋が見えるのもグレイソンの緊張を高めた。




意味もなく、女性を私室に呼びつけてしまった事をグレイソンは反省しきりだった。




だが、あのままだとブレイクにアンをとられてしまう気がしてならなかった。





どうかしたのかと、コテンと首をかしげるアンの可愛らしさにグレイソンは深くため息をついた。



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