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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
127/139

127.白タヌキは辟易す

更新遅くなりました!いつも読んで頂きありがとうございます。



「アン〜!」

「発動しようよ〜」

「非力じゃないもの〜」



フウ達は風魔法を発動するのを今か今かと待ち構えていた。



真剣な顔でこちらを見つめるグレイソンと、精霊達の温度差にアンの心臓は落ち着きを取り戻しつつあった。



その時。


グレイソンは待ち構える精霊達の気配に、ゾワリと背中に悪寒が走った。



「あの、団長さん...?たしかに私自身は非力ですが...護身術を心得た今、精霊様達が風魔法発動を心待ちにしてまして...。」


アンがおずおずと言うと、グレイソンは悪寒の正体を正確に理解してサッと飛び起きた。


「と、とにかく!!!男を部屋に入れない!泊めない!おやすみのキスなどもっての外だ!!!」


グレイソンはガシガシと頭を掻いて背中を向ける。


「は、はい!」


アンも起き上がると、コクコクと頷いた。グレイソンに掴まれた手首に痛みは全く無かったが、手首が熱を持った。



(ブレイクの時もドキドキはしたけど、こんな風に熱を持って心がチクチクとするのはどうして...?)


アンはモヤモヤした気持ちのままに、グレイソンの顔色を伺う。ひとつ気になることがあった。


「ところで、それは団長さんも例外なくでしょうか...?」


「〜〜〜っ!?わ、わた、私は...。例外だ!!!」


「...そう、ですか...。」


アンはほっとした。グレイソンとの束の間の夕食が、アンにとって幸せなひと時だった。それが無くなってしまうのはとても悲しい。




そして、これらの一部始終を見ていた白タヌキは独占欲がダダ漏れなグレイソンに対して呆れていた。内心では早くくっついてしまえと、うんざりしている。


その時には、最高位精霊を撒いてやらねばと頭の中で策を巡らせた。








その後は、ふたりとも顔を火照らせギクシャクしつつも平然を装って朝食をとり、グレイソンは白タヌキと共に騎士団宿舎へと向かった。





...





「ぶにゃ〜?(馬鹿なのか...?)」


白タヌキはグレイソンの頭に乗り、尻尾で横顔をペシペシとした。


「おい、何となく馬鹿にされてることは伝わるぞ。」


グレイソンはムスッとした顔でズンズンと廊下を進む。


「...私のことは、異性として見れないという事なのだろうか...。」


グレイソンの頭がどんどん俯いてくるにつれて、乗り心地が悪くなった白タヌキは苛立ちつつも飛び降りた。


そして、同時に白虎へと姿を変える。


廊下をすれ違う侍女たちが、驚きのあまり端に飛び退く。それにはグレイソンが問題ないと手で合図して諌めた。


「愚カナ。

我デスラ 分カル事ヲ。

早ク 手ニ入レテシマエバ 良イ。」


白虎が呆れたように低い唸り声を漏らす。


「それができないから悩んでいるんだ!!!」


「...セト、ブレイク、他幾人モ

好敵手ガイルトイウノニ。悠長ナ。」


「...セト、ブレイク...他幾人も...?」


グレイソンは驚いて白虎へと丸い目を向けた。白虎はようやく更なる焦りを覚えたグレイソンに、フンッと鼻で笑ってやる。


「下位精霊カラ、アン 二関スル情報ハ

全テ掴ンデイル。」


「やるな、お前...。」


グレイソンはムスッとしつつも、ひとまずは騎士団宿舎に到着したため会話を切り上げた。




ここからは、団長として振る舞わねばならない。


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