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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
122/139

122.すれ違いの来店


...




ルカとオリーが店から出て間もなく、久しぶりに白亜の本屋にヘンリーがやって来た。クロエは気付くことなく接客をしている。


真摯に客に向き合うクロエの様子に、ヘンリーは内心微笑んだ。周りのものには無表情にしか見えていないが...。


「ヘンリーおじさん、クロエはもう少しで終わると思うけど、最近やっぱり忙しいの?」


アンは闇魔法の件でヘンリーが忙しくしているのは予想していた。だが、それにしても酷いクマができているし疲労感も見える。ひとまずクロエの接客が終わるまでは紅茶屋で休んでもらう事にした。


「ああ、すまない。忙しいと言っても気になる事を放っておけないせいだ。直近でやらずとも何も起きないかもしれないが、胸騒ぎがしてな...。


すまない、ありがとう。


クロエは元気にしているか?」


アンが新作の紅茶と菓子を出すと、ヘンリーはお礼を言って口にした。この様子だと昼食も取らずに駆け回っていたのだろう。


ヘンリーはキャラメルポップコーンが大変気に入ったらしい。表情は変わらないが、パクパクとリズム良く食べ切ってしまいそうである。アンがアイラに目配せして、追加を皿に補充してもらう。


目配せする前から用意してあったところ、アイラはかなり気が利くようだ。


「クロエさんは元気だけど、おじさんが来ないせいで少しお怒り気味かもしれないわ!今日はごはんに誘ってあげてね。」


アンはニヤッとしながらヘンリーに言う。


「あぁ、そのつもりだ。」


ヘンリーは恥ずかしげもなくクロエに目線を送る。それに気が付いたクロエが顔を赤くして花瓶を落としそうになって、アンもヘンリーも一瞬ヒヤリとした。


「クロエはいつもあんなにそそっかしいのか...?」


「おじさんがいる時はね。」


アンは肯定したらクロエに怒られそうだと思いつつも、一方の仕事ができるクロエの尊厳を守るために条件付きで肯定する事にした。


「ところでアンは結局王宮から通いでここに働きに来ることにしたのか?」


「...ええ。護身術の訓練も始まって少し自信もついたけど、やっぱり何かあってからでは遅いから。それに、今はこの子達が前のお家に住んでくれてるから。成人するまでは貸し出しって事で!」


そう言ってアンは3人の小さな店員を紹介した。ヘンリーには何故白タヌキのような帽子を被っているのか理解できなかったが、真面目で誠実な彼らに安堵した。


「良い子そうだな。ところでアン。

まだ未確定情報だが、一人闇魔法が使えると思われる青年がいる。ここからは馬で6日かかるエディール村にいるから関わることなどないとは思っているし、誠実そうなヤツだが念のため注意しておきたい。そこには行くな。」


ヘンリーはアンに向き合うと、声を顰めて忠告した。そのピリッと張り詰めた空気に、アンもピシッと背筋を伸ばす。


「ありがとう、王都から出る時には必ず連絡するし、護衛の騎士様にも付いていただくようにするわ。」





そこに、仕事中のクロエが近付いてきたので、アンはクロエに微笑むと席を離れた。





「あの、ヘンリー。今日って...」


クロエはいじらしく下を向いて声をかける。


「ああ。クロエを食事に誘いに来た。仕事が終わるまでここで待っている。」


ヘンリーが滅多に見せない笑顔をクロエに向ける。それでクロエが真っ赤になるのだが、出会ってから1年以上経つというのにまだこの調子だ。



「俺もあんな恋愛してぇ〜!!!誰か嫁に来てくれ〜!!」


その様子を遠目に見たジョシュアがため息混じりにテディに話しかける。


「いや〜いつ見てもお似合い。いつも(お金になって)ありがたいよ。」


テディはニコニコと今日のデート用のクロエの服を見繕いだした。最近ヘンリーが来なかったので、ノワールに描いてもらったクロエに似合うデザインが沢山溜まっている。そのため、今日は稼ぎ時だとヘンリーが店に来てから忙しなくクロエのための服を準備していた。



評価★★★★★ブックマークよろしくお願いします!


更新時間が遅くなりすみません、書くのにやっとやっとになっています(笑)

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