78:魔法使いについて
「なるほど、確かにな。俺もちょっと苦手だ」
それっぽい返答をすると、まさかのリュードも同意してくれた。
「キリク殿が特別どう、という訳では無いが、魔法使いというものがどうも苦手だ」
続けるリュードに、なるほどとニコは納得する。リュードの母国がありのままの自然、精霊を受け入れるのに対して、魔法使いは自然、精霊を使役する職業なのだ。なかなか相容れない者同士なのだろう。
「リュードらしい意見だね。僕は精霊とか魔法とかよくわからないけど、キリクさんの何でも見透かしたような、いつでもちょっと相手を小馬鹿にした感じが苦手なんだよね」
何だか純粋な悪口みたいになってしまったニコの意見を聞いて、リュードは一瞬リアクションに困っていた。恐らく噂されたキリクさんがどこかでくしゃみの一つでもしているはずだ。
「悪い人ではないんだろうけど……」
「……そんな相手にわざわざ会いに行くとは、余程その旅芸人が気になるんだな」
「……まあね」
今はまだ、詳しいことは話せない。いろいろな意味合いを込めてニコが頷くと、リュードは小さくため息をついた。
「わかった。付き合おう。とっとと占い小屋へ行こうぜ」
占い小屋とは、キリクさんの店舗兼住居である建物のことだ。




