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76/85

76:天使様の目的は

居心地悪そうに目を白黒させているレインに、ニコは苦笑した。


「へぇ……レインってモテるんだね」


「からかわないでよ、二コ……本当に、僕も何が何だかわからなくて……」


照れているのか、レインの語尾がごにょごにょと力なく消える。

どうも距離の詰め方が雑だ。人見知りで大人しいレインとの親密度をあげようと思えば、もっと時間をかけなければならない。

確かに、本来のゲーム開始の日付から既に約一ヶ月が経過している。ゲームのエンディングであるカーニバルまで、残り二ヶ月あまり。どうだろう、そこまで焦る必要はあるのだろうか。

普通にシナリオを絞ればハッピーエンドは迎えられるスケジュールだとは思うのだが。

イマイチ、主人公の目的が読み切れない。


「旅芸人一座の一員、なんだよね、その人は。世界中を旅して回ってるような人達だから、やっぱりコミュニケーション能力が高いんじゃない?レインと仲良くなりなりたくて、そんなこと言ったのかも」


「……そういうもの、なのかな」


なんだか知らず知らずのうちに主人公をフォローしているみたいになってしまったニコだった。不本意ではあるが、天使様である主人公が、各攻略対象キャラに危害を加えるような行動をするとは思えない。

ニコ相手に、ならば別だが。

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