4:モブキャラと推しのルーティン
ニコの仕事。
すなわち、「四葉珈琲店」の営業であるが、前述の通り、お金儲けをする必要が無い悠々自適少年である彼が日々の業務に必死なはずもなく、完全なる趣味の延長、開店休業状態なのである。なんて羨ましい。いや、今や私のことなのだけど。
前世、私はコーヒーが好きだった(記憶がある)。
休日は喫茶店探訪で終わることも多かったし、家であれこれ自分でいれてみたりもした。
それが何の因果か、私はカフェ店員の少年に転生し、ニコの養父母の持ち物である四葉珈琲店を任されるという、なんとも都合が良すぎる毎日を送っている。
そもそも、転生後の私の家族、ニコの養父母である老夫婦は中流階級ながらそこそこの資産家で、農園を持ってたり漁船を持ってたり、それを人に貸して不労所得を得て本人たちは世界中を旅して回ってたりしてほぼうちに居ない(という、都合が良すぎる設定。たしかに、ゲーム本編の喫茶店にカフェ店員の少年以外の従業員は登場しない!)。
ニコもその生活に慣れてしまっていて、うちで一人で過ごすことが多いのも別に最早寂しくないらしい。レインはじめ、友人がいないこともないし。負い目はないものの、そもそも孤児だった自分を引き取って何の不自由もなく育てて貰った感謝が先行して文句など出てくるはずがないのだった。元々、ニコはあまり深く物事を考えない、のんびり屋らしい。
そんなわけで、世の飲食店経営者に殴られそうなやる気のなさで営業されている四葉珈琲店なのである。
だからと言って、ニコが自堕落引きこもりニートかというとそうでもなく、のんびりながらわりとアクティブに毎日を過ごしている。中流階級居住区ではそこそこ顔も広い。もちろん、育ての親である老夫婦の影響力が大きいのだけど、「あのご夫婦のとこの息子さん」ということで、庶民の間ではどこへ行っても歓迎されるのだった。ニコはニコで、本来なら売り物であるはずの、手作りスイーツや軽食をおすそ分けしたり、住民達の困り事の解決に奔走したり、なかなかのおせっかいぶりで、意外と重宝されているみたいだった。
そんなニコの毎日のルーティンのひとつが、幼なじみのレインにランチをデリバリーすることらしい。何それ羨ましい。いや、今や私のことなんだけど。
レインは没頭すると寝食忘れるタイプで、放っておくと一日何も食べないとか倒れるまで寝ないとかがざらにある。妹のチェルシーが日頃から口を酸っぱくして言い聞かせているのだが、未だに改善は見られない。そんなわけで、チェルシーが通学のためレインの監視が出来ない昼ごはんの世話は、ニコが買って出ている、というわけである。何それ羨((ry