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57:君の目的は

ニコは口ごもった。

まさか「攻略対象最後の一人とエンカウントするためです!」とは言えない。

ひょっとすると、ゼルに「エミールに会わせて欲しい」と頼めば実現する気がしないでもないが、やはり「何故?」となるだろう。

前世の攻略情報が仇となってつい欲を出してモブキャラが出しゃばっちゃったんですてへぺろ☆などと言った暁には、間違いなくおかしな奴として今度こそ尋問室行きだ。


「……大事な指輪だと思ったので。そんな貴重なもの、ずっと持っておくのが怖かったんですよ。あいにく、四葉珈琲店にはその指輪を保管できるような厳重な金庫はありませんから」


なので、それっぽい理由を答えておいた。嘘ではない。万が一四葉珈琲店に強盗が入って指輪が盗まれようものなら国を揺るがす一大事になりかねない。……まあ余程物好きな強盗がいれば、の話だが。あの喫茶店に貴重品があるとは誰も思わない。それ以前に、ニコが指輪を持っている所を誰かに見られたら、ニコが盗人扱いされることだろう。実際、門番には怪しまれたわけで。


「ふーん、なるほど。筋は通ってるね」


ゼルは頷いたものの、いまいち納得していないようだった。


「ところでニコはどうしてこの指輪が貴重なものだってわかったのかな?」

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