表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/85

48:バックには奴がいる


名残惜しそうだったジェラルドとは屋敷の前で、馬車で送ってくれたトム氏とは中央広場で別れた。どっと疲れが押し寄せてきた。

昨日、いや正確には一昨日から怒涛の展開過ぎて流石に疲労感がヤバイ。まだ日は高いのにもう既に眠ってしまいたい。今から寝ても朝まで余裕で寝られる気がする。


「やあニコ。お疲れみたいだねぇ」


そして更に疲れを助長させる人物が現れるのである。


「…………」


「いや何か言ってよ!」


「…………」


チラリ、と一瞥をくれたのち、小さくため息をついてその場をニコが立ち去ろうとしたら、声の主、キリクさんは泣きそうになっていた。


「ニコ〜!ごめん、ごめんってば!そんなゴミでも見るような目で見ないでよ〜!」


「僕は何に対して謝られているんでしょうか?」


自分でも思ってた以上に冷たい声が出てしまった。いや、本来キリクさんにニコは助けて貰っているはずなのだが、もっというとジェラルドがキリクさんに助けられているのだが、なんだかムカつくのでやっぱり当たりが強くなってしまう。

魔法使い、とかキリクさんの立場がいろいろ胡散臭いのは置いといて、あの夜のキリクさんの言動は、やはり解せない。何かの圧力というか、誰かの意思が働いているかのように感じた。


「ジェラルド・ジョリーさんの屋敷に招待されてきました。キリクさんも声をかけられていたのでは?」


「あ、ああ……、そうだね。都合が悪くて断ったら、後日改めて礼に来るって……。ていうか、俺の名前出したのニコだよね?別に俺は通りがかっただけなんだから、別に言わなくたって良かったのに……」


キリクさんがしどろもどろになっている。口数も多い。


「キリクさんは……何を、ご存知なんですか?」


ニコは真顔で問うた。


「……どういうことかな?」


「じゃあ聞き方を変えます。誰の、差し金なのですか?」


一瞬、とぼけようとしたキリクさんをニコは見逃さない。


「……ニコのほうこそ、どこまで知っているのかな?」


キリクさんの目がすっと細められる。微笑んでいるようにも、睨みつけられているようにも見えた。ニコはそれ以上お互い喋るつもりがないことを悟った。

しかし、それが一番の答えだ。

恐らく、キリクさんは既に「会っている」。

時間が無い。

やはり、ゲームは始まっているのだ。

誰かの手の上で転がされるというのは不愉快だが、この際文句は言ってられない。

自分の目的のために、いかなる機会も利用し尽くすと、ニコは決めていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ