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40:設定過多なモブキャラその2

しかし、トム氏もまた、ゲーム本編では名前の登場しなかったモブキャラのはずだ。こんなに設定過多なモブキャラだったとは。妙な親近感を覚えてしまう。

確かに、ジェラルド関係のイベントに「執事」や「御者」や「使用人」など登場した記憶があるのだが、もしかして全役トム氏が一人で担当していたということか。やはり、有能すぎる。

トム氏に連れられて、館の中に入る。やはり、かつては栄華を極めたのだろうな、と思わされるが今は古びてどこか痛々しさすら感じる立派な室内で、中央の大階段を上がり、ジェラルドの待つテラスまでやってきた。


「では、私はお食事の準備がありますので」


まさかのコックも兼任だとは。退出するトム氏の背中に呆気に取られていると、ニコの言いたいことを全て察したジェラルドが苦笑しながら言った。


「どこまで詳細を知っているかわからないが……ともかく、俺は国王の弟ではあるが、王宮や上流階級居住区には居づらくてね。誰も俺の身の回りの世話なんて貧乏くじはやりたがらないんだが、トムだけは子供の頃からのよしみでついてきたんだ」


「おひとりで全てをこなしているなんて、有能な部下がいらっしゃるんですね」


「有能でお喋りで物好きなんだ」


ジェラルドはまた苦笑した。トム氏への信頼を感じる、穏やかな笑みだった。


「俺と同じで世の中から忘れ去られたこの我が家で自慢出来るのはトムとここからの眺望くらいだからな」


ジェラルドに手招きされ、おずおずとニコはジェラルドがいる手すりまで近づく。

そこには一面の青が広がっていた。


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