23:招かれざる客は続く
四葉珈琲店、一階客席。
有閑貴族の青年と、診療所の見習いと、カフェ店員の少年。
謎のスリーショットが実現してしまった。
いや、実際にゲーム中でもジェラルドとレインは出会わなくはないのだけど、シナリオの密度的にそこまで絡みがある二人ではないのだ。しかもカフェ店員の少年が仲介して出会うとか、ありえない。
どうしてこうなった!
そう、私が浅はかだったせいだ!
自問自答自己完結しながらも、ニコは内心冷や汗ダラダラであった。こんな展開は知らない。見たことない。
「こんな時間にお客さんなんて珍しいね」
レインがカウンター越しに耳打ちしてくる。
そう、珍しい。本来ならあってはならないお客さんである。
「あ、あはは。そうなんだよねー。ところで、騒がしいって、何事なの?」
ただでさえ冷や汗が止まらない展開だと言うのに。
「あ、そうそう、中央広場に王国騎士団が巡回に来てるんだ。何か行事でも無いし、特に予告も無かったから、みんな何事かってちょっとした騒ぎになってて」
……これ以上、招かれざる客が続くことになろうとは。
ガタン!
ニコとレインが音のした方を見ると、ジェラルドがテーブルに手をついて立ち上がっていたところだった。
表情が険しい。その肩がブルブル震えているように見える。
「……あの、馬鹿!」
憎々しげに呟いて、ジェラルドは勢いよく飛び出していった。
「世話になったな、ニコ!この礼は必ず!」
「あっ、待って!」




