4-4
『蒼水晶の洞窟』には大勢のプレイヤーがいた。
ぱっと見ただけで20人はいる。
普通にレベル上げをしにきているプレイヤーではない。このダンジョンはストーリーを進めるメインクエストとは無関係のサブエリアだから、採集クエスト以外の目的で来るプレイヤーはほとんどいないはず。『蒼水晶の採集』は効率のいいクエストで人気だから誰もいないということはないけれど、それでも俺が経験した中でも多くて10人といったところだ。
しかもここにいる20人近くのプレイヤーは組織的に行動している。
ひたすら『蒼水晶』を採集するプレイヤー。
採集するプレイヤーに近づいてきた魔物を倒すプレイヤー。
採集するプレイヤーの手が止まらないよう、採集者のストレージが限界近くになると『トレード』して『蒼水晶』を受け取るプレイヤー。
そしてクエストホームとここを往復してクエストの受注、完遂を繰り返すプレイヤー。
完全なルーチンワークを形成している。
「これは……『ギルド』だな」
ギルドとは、5人以上で結成できる、パーティーよりも大規模な組織である。
「まさかギルド総出でここで採集してるの!?」
「らしいな」
ダンジョンはギルドの連中が占領しており、俺たちの立ち入る隙がない。
しかし、納得がいかないセレナは、堂々とダンジョンを進んでいく。
「ここのギルドマスターは誰よ!」
そう堂々と叫んだ。
道場破りかっ。
すると、ダンジョンの奥からギルドマスターらしきプレイヤーが現れた。
「ギルマスは僕だけど、なにか用かい?」
「アタシたちもここで採集したいんだけど、いいかしら」
「悪いね。よそへ行ってくれないか」
ギルドマスターは当然のごとく断ってきた。
しかし、セレナはその程度で諦める性格ではない。
「アタシたちも『蒼水晶の採集』クエストを受けてるのよ。いっしょに採集させてちょうだい」
「困ったなぁ」
ギルドマスターは露骨に迷惑そうなまなざしをセレナに向けている。
「そんなことしたら、お互いに『蒼水晶』の取り合いになって非効率的になるじゃないか。キミたちパーティーが強引に採集したってお互いの不利益になるだけだよ」
それからギルドマスターはダンジョンの奥を指さす。
「あっちの奥のほうに行ったらどうだい? クエストホームとの往復にちょっと時間はかかるだろうけど、あっちにも『蒼水晶』は落ちているよ」
「あら、そうなの」
「騙されるな、セレナ。奥のほうには強い魔物がうろついていて採集どころじゃないぞ」
「なっ!? あんた、アタシたちを騙そうとしたのね!」
「ひどいよー!」
セレナは激怒して地団太を踏む。
クラリーチェも「ぷんすか」と怒っている。
それに対してギルドリーダはなんの悪びれもなく肩をすくめている。
「いや、ごめんよ。キミたち強そうだからさ、オススメしてみただけさ」




