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21-7

 馬車がミザル火山に着くころには、すっかり日が暮れていた。

 火山には山頂へ上る山道があったがそちらは別のダンジョンへのルートらしい。そことは別に、ふもとに火山内部へと至る巨大な空洞が空いていた。『ミザル溶岩洞窟』への入り口だ。

 そして山道と洞窟への分かれ道のところには浮遊する六角形の水晶――転送ポイントがあった。

 これでいつでも拠点の街とここを瞬時に行き来できる。

 俺とミカさんはタブレットを転送ポイントにかざして転送登録をする。


「わたくしもトキヤさまたちと同じようにすればよろしいのですの?」

「ああ。登録方法を教えてあげるよ」


 俺はコルデリアに転送ポイントの登録方法を教えた。

 コルデリアは教えられたとおりにタブレットを操作し、転送ポイントの登録をした。

 これで三人とも拠点の街に帰還ができる。

 俺たち三人は同時にタブレットを操作し、拠点の街へと帰還した。


「それにしても便利ですわね。別の場所へとあっという間に移動できてしまうなんて」


 街の中央広場に転移されたコルデリアは周囲をきょろきょろ見回しながら言った。


「転送機能が無いと何日もかけてダンジョンを攻略しないといけなくなるから、私たち冒険者には欠かせないものだよ」

「タブレットとはなんでもできる魔法みたいな道具ですわね」


 転移やステータス・マップ表示、チャットやメール、道具の出し入れ――タブレットがあるからこそ俺たちはこの『ゲーム』をプレイできるのだ。


「さて、おなかも減ってきたところだし、酒場へ行こうか」

「コルデリアはどうする? 転移機能を使えばアシロマの森へもすぐに帰れるけど」

「わたくしもトキヤさまたちとごいっしょいたしますわ。酒場というところへ連れていってくださいな」


 そういうわけで俺とミカさん、コルデリアの三人で酒場へ行った。

 食事の時間帯の酒場は客でごった返して賑わっていた。それに食べ物と酒の匂いが充満している。その賑わいぶりにコルデリアは目をしばたたかせていた。


「人間がいっぱいいますわね。みなさんここでお食事をとりますの?」

「そうだね。あとはダンジョンや魔物の情報交換なんかもしているよ」


 人と人の間を縫うように歩きながら酒場の奥へと進んでいく。いつも座っている二階の席はすでに他のプレイヤーに取られていたので、適当に見つけた空いている席に座った。俺とミカさんはイスに座ったが、人形みたいな大きさのコルデリアはそうもいかなかったのでテーブルに腰かけた。注文を聞きにやってきたウエイターが彼女を珍しげに見ていた。


「ミートパイ、楽しみですわ」

「この店はピザもおいしいよ。チーズがたっぷり乗っていてね。運ばれてきたら食べてみるといい」


 タブレットのメール通知の音が鳴る。

 俺のタブレットだ。


 ――どこにいるの? 夕食の時間よ。


 セレナからのメールだった。


「どうします? ミカさん」


 俺はメールをミカさんに見せる。

 うなずくミカさん。


「彼女たちも呼ぶといいさ。ただ、今回の冒険の件はくれぐれも秘密にね。コルデリアちゃんも、いいかい?」

「ご安心くださいな。わたくし、口は堅いですの」


 そういうわけでメールに返信し、セレナとクラリーチェを酒場に呼んだ。二人はすぐに俺たちの席へとやってきた。

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